- 【タイトル】
「新龍門客桟」、「THE DRAGON GATE INN」 - 【製作会社】富藝公司
- 【監督】陳會毅(ビリー・チャン)
- 【出演】
李連杰(ジェット・リー)、楊紫瓊(ミシェル・ヨー)、
莫少聰(マックス・モク)、錢嘉樂(チン・ガーロ)
1992年、『男兒當自強(ワンチャイ 天地大乱)』を撮り終えたジェット・リーが、次回作として予定していた作品です。
ゴールデン・ハーベストとの契約問題や、マネージャーであった羅維の息子・羅大衛との訴訟問題などで後ろ盾となってくれた蔡子明(ジム・チョイ)率いる、富藝公司で製作が準備されており、ジェットと蔡子明はこの作品で、大きく国際市場に打って出ようとしていました。
もちろん元ネタは、1967年の巨匠キン・フー監督の傑作『残酷ドラゴン 血闘竜門の宿/Dragon Inn』で、その共演者としてそれまで結婚を機に映画界を去っていた楊紫瓊(ミシェル・ヨー)をこの作品で復帰させる予定でした。
しかし、『ワンチャイ 天地大乱』のプレミアを終え、蔡子明と夕食を共にしながら、この作品の構想やアイデアを熱く語り合ったその翌日、悲劇が起こります。
※右の画像はあくまで管理人の妄想によるイメージ画像です。
92年4月16日早朝、蔡子明が2人組の男に銃撃され絶命してしまいます。
数少ない友人でもあり、当時孤立無援だったジェットの唯一の理解者ともいえる蔡子明を失って、大きなショックを受けるジェットだったが、二人の夢でもあったこの作品での国際市場への進出を実現させるべく全力を尽くそうと思っていました。
富藝公司は、李連杰(ジェット・リー)、楊紫瓊(ミシェル・ヨー)、莫少聰(マックス・モク)ら出演陣と記者会見を開き、『新龍門客桟』の製作を発表。ジェットによるスチール撮影も行われました。
しかし、その数日後の4月23日。富藝公司の態度が一変し、「ジェットと富藝公司の契約は有効ではなかった」として、この作品の製作が白紙となってしまったのです。
左から莫少聰(マックス・モク)、錢嘉樂(チン・ガーロ)、李連杰(ジェット・リー)
李連杰(ジェット・リー)part1
国際版ポスター。左:楊紫瓊(ミシェル・ヨー)、右:莫少聰(マックス・モク)。
国際版ということで、ミシェル・カーンになってます。莫少聰・・・強烈ですね。
この年の7月、吳思遠(ウー・シーユェン)率いる思遠影業(シーゾナル・フィルム) から同名の映画『新龍門客棧(ドラゴン・イン)』が公開されました。
ジェットとつながりの深い徐克(ツイ・ハーク)製作で、同じく『龍門客桟(残酷ドラゴン 血闘竜門の宿)』を元ネタとした作品です。
似たような作品が同時期にリリースされることが珍しくない香港映画界ですし、富藝公司の製作が取りやめになってからわずか2か月のリリースということで、関連性はないのでは、とも思っていたのですが、最近入手した情報によると、昨年の『龍門飛甲』の時に、当初は梁家輝ではなくジェットだったこと、また張曼玉も当初のキャスティングではなかったと語ったそうです。
実際には、2つの『新龍門客桟』が同時に準備されていたということです。つまり富藝公司の『新龍門客桟』と、徐克の(吳思遠の)『新龍門客桟』が同時に進行していて、徐克版のほうでもジェットの出演を望んでいたということです。
また、富藝版の監督は陳會毅(ビリー・チャン)ということから、当時の徐克との評価の差は歴然で、大陸ロケなどでの協力を得られそうだったのは、当然徐克版だったそうです。
ただ私は、この作品がどのように撮られたかということよりも、この90年代初期に、蔡子明とジェットによる国際市場への挑戦がどのような結果を残せたのか、そちらの方が気になります。
そして昨年、ジェットとツイ・ハークが手を組み、『龍門飛甲』が撮られたことを思うと、感慨深い幻の作品であります。(ただ、『龍門飛甲』で最初にオファーがあったのは、ドニーイェンだったなんて話もありますが・・・)
『残酷ドラゴン 血闘竜門の宿(龍門客棧)』
台湾で製作された作品で、東南アジア全域で大ヒットした、功夫映画の原点ともいわれる鬼才キン・フー監督作。
- 【タイトル】 邦題:残酷ドラゴン 血闘竜門の宿、原題:龍門客棧
- 【監 督】 胡金銓(キン・フー)
- 【出 演】
石雋 (シー・チュン)/白鷹(パイ・イン)/上官靈鳳 (シャンカン・リンホー)
苗天 (ミャオ・ティエン)/韓英傑(ハン・インチェ)/徐楓(シュー・フォン) - 【公 開】 1967年
再生時間 7:11
再生時間 3:48
再生時間 10:30
『ドラゴン・イン(新龍門客棧)』
巨匠キン・フー監督の『残酷ドラゴン 血闘竜門の宿』を敦煌での一大ロケを敢行し、ツイ・ハーク流にリメイク。
残念ながら国内でのDVDは未発売。今度の『龍門飛甲』がキッカケで発売されないでしょかね~。
- 【タイトル】 邦題:ドラゴン・イン、原題:新龍門客棧
- 【製 作】 徐克(ツイ・ハーク)
- 【監 督】 李惠民(レイモンド・リー)
- 【製作会社】 思遠影業(シーゾナル・フィルム)
- 【出 演】
張曼玉(マギー・チャン)、林青霞(ブリジット・リン)、梁家輝(レオン・カーフェイ)
甄子丹(ドニー・イェン)、熊欣欣(ホン・ヤンヤン) - 【公 開】 1992年
再生時間 1:35
再生時間 6:42
再生時間 9:43
再生時間 1:59
『龍門飛甲』
28億円とも言われる製作費を投じて、徐克が製作した『ドラゴン・イン』の続編的作品。大陸初の3Dカンフー映画としても話題に。
2011年に中国で公開され、5.4億元(約69億円)という興行収入をあげる。2011年の中国興行成績ランキングでは4位を獲得。(中国映画では2位。)中国歴代でも8位となる興行収入を獲得。
- 【タイトル】 原題:龍門飛甲
- 【監 督】 徐克(ツイ・ハーク)
- 【出 演】
李連杰(ジェット・リー)、周迅(ジョウ・シュン)、陳坤(チェン・クン)
桂綸鎂(グイ・ルンメイ)、范曉萱(メイビス・ファン)、樊少皇(ルイス・ファン)
李宇春(クリス・リー)、劉家輝(リュー・チャーフィー) - 【公 開】 2011年
再生時間 1:19
再生時間 4:48
再生時間 2:27
再生時間 5:16
この頃のさらに詳しい情報は、
ジェット・リー物語【第13章】蔡子明 -1992-
の記事をご覧ください。
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スチール撮影もされてたんですね!
そしてやっぱり、当時のジェットカッコイイ!!
そしてやっぱり、カワイイ!!(照)
あ~ぜひ観たかったです(涙)
幻で終わったのが本当に悔やまれますね
龍門飛甲、地元の映画館でやってくれないかなぁ
ジェットリー物語のジムチョイ氏のくだりは
涙無しには読めませんでしたよ!
ワイヤーアクションとか、3Dとか、ホントは苦手なんですが
それらの思い入れ込みで(勝手な想像ですけど)
観なくちゃいかん一本ですね
junfanさんこんばんは。
『白蛇伝説』はそこそこヒットしたようなことも言われてますが、
実は製作費の回収も危ういとか・・・
一方、『龍門飛甲』は中国でかなりヒットしたので、
日本でも全国公開されるのでは?と思ってます。
>ワイヤーアクションとか、3Dとか、ホントは苦手
すごいわかります!私もそんな一人ですので。
実はツイ・ハークとかチン・シウトンとか聞くと、テンションが・・・
あと、こんな拙い文章で涙して頂けるとは恐縮です。。。
2012年現在までの分がほぼ準備できたので、
まもなく続きを披露できそうです。
ただ、何を思ったか、
自己満足のこの新コーナーを立ち上げてしまったばかりに、
投稿が遅れているのです(;д;)
もう少々お待ちくださいね☆