体調不良が続く中、休まず慈善活動を続けるジェットだったが、最悪の状況は免れたものの罹病してしまう。
しかし、俳優としてさらに2本の映画に出演。14年ぶりとなる盟友とのタッグ、そして古装アクション復活を果たす!
末期がんの疑い
2009年、ふたたび映画出演を再開したジェットだったが、その間も撮影の合間を縫って、慈善活動を継続。
5月には、ダニエル・ウー(呉彦祖)、ルビー・リン(林心如)ら人気タレントを含む約200人のボランティアを引率し、昨年5月に大地震に見舞われた四川の被災地を訪問。「壹家人壹起走」と銘打ち、特に被害の大きかった地域を5.12km徒歩で回り、被害者の冥福を祈った。
その後も講演、チャリティーイベントなどへの出席を重ね、8月に発生した台風8号により大きな被害を受けた台湾の被災地へも駆け付け、支援活動に尽力した。
3本の映画撮影を終えた後も、休む間なく継続して慈善活動に注力する。
年が明けて2010年になっても、次回作の具体的な動きはなく、依然として『壹基金』中心の活動が続く。
4月、雲南省の干ばつ被害地域を訪問して間もなく、今度は中国青海地震が発生。最も被害が集中した地域にすぐさま駆けつけ、精力的に活動した。
この頃になってようやく、ジェットの次回作の話題が増え始める。
ひとつは、この年の10月から撮影開始予定の『モンキー・キング(大鬧天宮)』。西遊記をテーマとした3D映画で、主人公である美猴王(孫悟空)役に、ジェットとドニー・イェン(甄子丹)の名前が浮上。
もう1本は、同じく3D作品の『新龍門客棧』で、ジェットにとっては因縁深い作品であり、監督は盟友・徐克(ツイ・ハーク)。
確実と言われていたものでは、こちらも3D作品で『白蛇伝説』。ジェットが和尚・法海役で出演。中国で有名な民間伝説の映像化で、6月から撮影開始が予定されていた。
また、5月からは、昨年撮影した『海洋天堂』のプロモーション活動が始まるが、自閉症の患者さんたちと一緒に、香港の海洋公園を訪れるなど、あくまでチャリティーの一環としてのプロモーション活動だった、
ふたたび一時的とはいえ、俳優としての活動が増えると思われたその矢先、ジェットに「甲状腺疾患」との診断を受ける。
実は昨年、映画撮影中に体重が激減。
『海洋天堂』での役柄と重なり、映画と同じように、がんになったのではないかと、自分で末期がんも疑った。一時は余命わずかかと覚悟をしていたのだ。
今回、がんではなく、甲状腺疾患との診断が下り、ひと安心したものの、体調はすぐれないままだった。
また、医者からは、しばらく撮影は止めた方がいいと言われ、治療を続けることになった。
ジェットは、『海洋天堂』という作品に出演したことと、今回の経験を通じて、「命」についてさらに深く考え、ますますチャリティー活動に力を入れていく決心を固めていた。
世界で最も影響力のあるヒーローズに
上記本文以外のこの時期(2010年)のジェットの主な動きや受賞歴などです。
- 1月:昨年活躍した中華圏スターの映画・CM・イベントのギャラから見た「出演料ランキング」で、ジャッキー・チェンが映画出演料4400万元(約6億円)/本、CM出演料1200万元(約1億6000万円)/本などで、映画・CM・イベントのいずれも3年連続1位に。ジェットは映画部門で2チョウ・ユンファと並ぶ2位。CM部門でも2位となった。
- 4月:米タイムズ紙「世界で最も影響力のある100人」の「ヒーローズ」部門に選出される。
- 6月:北京師範大学・壹基金公益研究院の理事長に就任。
- 6月:「最も価値のある俳優」ランキングで5位に。
- 8月:「中国武術協会武博会形象大使」に任命される。
- 8月:武術の一大祭典「第1回世界格闘技大会」のイメージキャラクターを務める。(テーマソングはジャッキー・チェンの「天行健」)
- 9月:「国際赤十字社と赤新月社連盟」の親善大使に選ばれる。
- 9月:香港の「マダム・タッソー蝋人形館」で、ジェットの蝋人形の展示が開始。
名コンビでアクション復帰
2010年秋。
かねてから出演が噂されてきた2本の映画『白蛇伝説』、『龍門飛甲(ドラゴン・ゲート)』へ出演するジェット。
『龍門飛甲(ドラゴン・ゲート)』は、ジェットの盟友・徐克(ツイ・ハーク)監督による、約30億円をかけた大作。武侠映画としては初のオール3D作品だった。
長年に渡り、ツイ・ハークとの不仲説が囁かれていたジェットだったが、その噂を一蹴。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ 天地風雲』以来、およそ14年ぶりとは思えない、抜群のコンビネーションを披露した。
もともとは、この作品の前にツイ・ハークがメガホンを取ったアンディ・ラウ主演『狄仁杰之通天帝国(王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件)』で、ジェットを起用するはずだったが、スケジュールが合わず断念。またツイ・ハークはこの作品を3Dにしたかったが、当時の技術では自身が思い描く作品にはならないと判断し、こちらも断念していたという経緯があった。(逆に、本作『龍門飛甲』では当初ドニー・イェン(甄子丹)へ出演を依頼したが、スケジュールが合わず、ジェットのもとにオファーが来たという話もある。)
また、今作でジェットが受け取るギャラが1億香港ドル(約10億円)を超えた、と大きな話題に。(ジェット本人は、ギャラは合理的な金額しか受け取っていない、と強く否定)
撮影は10月から1月まで行われ、ジェットは12月まで参加.。続けて『白蛇伝説』の撮影に向かう。
『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』基本データ
【製 作】 徐克(ツイ・ハーク)
【監 督】 徐克(ツイ・ハーク)
【武術指導】 元彬(ユン・ブン)、孫建魁(チャン・チェン・フー)、他
【出 演】
李連杰(ジェット・リー)、周迅(ジョウ・シュン)、陳坤(チェン・クン)
桂綸鎂(グイ・ルンメイ)、范曉萱(メイビス・ファン)、樊少皇(ルイス・ファン)
劉家輝(リュー・チャーフィー)
【撮影期間】 2010年10月10日~2011年1月22日
【製 作 費】 2.2億元(約28.3億円)
【公 開】 中国:2011-12-16、日本:2013-01-11
【興行成績】 中国:5.4億元(約69億円) 年間ランキング4位(中国映画では2位)
『白蛇伝説』は、9月頃より既に製作が始まっており、ジェットも数シーンの撮影に参加していたが、『ドラゴンゲート』の撮影が終わり、再度参加することとなった。
この作品は、中国古代の4大伝説のひとつ「白蛇伝」を映像化したもので、約21億円の製作費を投入。チン・シウトン(程小東)がメガホンを取り、黄聖依(ホアン・シェンイー)のほか、林峰(リン・フォン)、蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)、文章(ウェン・チャン)、徐若瑄(ビビアン・スー)など第1線で活躍中の役者をそろえた、ファンタジー作品だった。
出演の経緯は、ジェットとはこれまで20年に渡って、「レジェンド・オブ・フラッシュ・ファイター」シリーズや「マスター・オブ・リアル・カンフー 大地無限」などを手掛けてきた香港の著名映画プロデューサー、ツイ・バオジュー(崔宝珠)の呼びかけに応え、低いギャラで出演を快諾したものだった。
ほんの友情出演のつもりで撮影に臨んだジェットだったが、いざクランクインすると撮影期間は25日にも及び、ジャッキー・チェンと競演した『ドラゴン・キングダム』での、サイレント・モンクを思わせるような名僧侶・法界役を演じた。
当初は3Dで製作される予定だったが、それは本作の続編へと持ち越された。
2011年1月。久々のアクション作品2本への出演を終え、再びジェットは慈善活動を本格化させていく。
『白蛇伝説』基本データ
【製 作】 崔寶珠(チュイ・ポーチュウ)
【監 督】 程小東(チン・シウトン)
【武術指導】 程小東(チン・シウトン)、他
【出 演】
李連杰(ジェット・リー)、文章(ウェン・ジャン)、林峰(レイモンド・ラム)
黃聖依(ホアン・シェンイー)、蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)、徐若瑄(ビビアン・スー)
姜武(チアン・ウー)、楊千嬅(ミリアム・ヨン)
【撮影期間】 2010年9月~2011年1月16日
【製 作 費】 1.8憶元(約21億円)
【公 開】 中国:2011-09-28、日本:2012-07-14(2012 夏の香港傑作映画まつり)
【興行成績】 中国:2億元(約24.4億円) 年間ランキング14位
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