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ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-

ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-


ジェット・リーこと李連杰が徐克(ツイ・ハーク)と三たび手を組み『東方不敗(スウォーズマン/女神伝説の章)』を撮影。
ゴールデン・ハーベストとの契約延長問題に揺れていた20代最後の時期です。(1991年)

前章に引き続き、ジェット・リーとゴールデン・ハーベストの契約延長問題が拗れ、『東方不敗』の撮影中断や『野獣刑警』降板など、『黄飛鴻』の成功にも関わらず不安定な日々を送っていた頃のお話です。

『東方不敗』

『黄飛鴻(ワンチャイ天地黎明)』のヒットを受け、徐克(ツイ・ハーク)はリンチェイに8月から撮影が予定されていた金公主電影『東方不敗(スウォーズマン/女神伝説の章)』への出演を打診、ゴールデン・ハーベストからのレンタル契約のような形で承諾を得る。

そして徐克は成龍の『雙龍會(ツイン・ドラゴン)』を撮りながらも、『黄飛鴻』のプロモーション活動をこなしていた。

『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット

当初の8月から2か月遅れの91年10月
ようやく、徐克製作による金公主電影での『東方不敗』の撮影が開始された。

『東方不敗(スウォーズマン/女神伝説の章)』は金庸の武侠小説『笑傲江湖』がベースの作品で、90年には第1作目となる『笑傲江湖(スウォーズマン/剣士列伝)』が、同じく徐克の手によって製作され、今作はその続編にあたる。

『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット

今回、徐克は製作と脚本に回り、監督は程小東(チン・シウトン)が担当。

共演には、林青霞(ブリジット・リン)、『黄飛鴻』でも一緒だった關之琳(ロザムンド・クワン)らが揃った。

『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット

リンチェイの役柄は、また黄飛鴻とも違い、自身の性格ともかなり違っていたので、演じることに大変苦労する。

また、金公主からは毎月、生活補助金として10万元(約14.5万香港ドル)がリンチェイに支払われていた。

『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット

『野獣刑警』

一方、残りの契約期限が迫っているゴールデン・ハーベスト側は、リンチェイの次回作に頭を悩ませていた。

『黄飛鴻』の続編については、『黄飛鴻』公開直後より予定されてはいたが、徐克無しで進めるわけにもいかなかった。

そこで浮上したのが、約半年ほど前から製作の話が持ち上がっていた、黄志強(カーク・ウォン)監督による『犯罪故事』(後の成龍による新・ポリスストーリー)という作品だった。

『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット

これは実際に起きた資産家誘拐事件をもとに書かれたもので、これにリンチェイを出演させることに決まる。

リンチェイには、撮影中の『東方不敗』と掛け持ちをさせ、共演者として鄭則仕(ケント・チャン)、伍詠薇(クリスティーン・ン)、羅家英(ロー・カーイン)の出演も決定。

その後タイトルは『野獣刑警』へと改題され、スチール写真の撮影などが行われた。

『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット 『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット

幻の作品はこちら。

ゴールデン・ハーベストの思惑

その頃、『黄飛鴻』の大ヒットにより、リンチェイの市場価値は跳ね上がり、各映画会社が争奪戦に乗り出すのは時間の問題だった。

ゴールデン・ハーベストにとっては、稼ぎ頭である成龍の人気に一時のような勢いは見えず、特に日本においての人気回復は難しい状況だったこともあり、次なるドル箱スターを何としてでも、他社に先んじて押さえておく必要があった。

実際のところ、リンチェイとの1作目『龍行天下』は、未公開のまま放置状態。

今回ヒットした2作目の『黄飛鴻』に関しても、製作費は4,000万香港ドルかかっており、さらには中間業者の搾取によって、逆に損失が出ていた。

そして3作目の『東方不敗』に関しては、金公主電影へのレンタルなので、もしヒットしたとしても利益は限られていた。

つまり、ゴールデン・ハーベストはリンチェイで儲けるどころか、未だに投資分でさえも回収できていなかったのだ。

そこで、ゴールデン・ハーベストはリンチェイに対してさらに2年間の契約延長を要求する・・・

帰国

この頃、一方のリンチェイは羅大衛とのマネージメント契約を解約しようと試みるも、失敗。

そこでゴールデン・ハーベストに対しては、検討すると言って時間を稼ぎ、その間にアメリカでグリーンカードを取得しようとするが、再びビザを担保に足止めされ、動きを封じられてしまう。

しかし、今回はリンチェイも頑なに契約を拒む。

ゴールデン・ハーベストは、その強硬さを察知し、首脳陣が直接リンチェイと面談。
アメリカへ戻っても良いので、契約延長を検討して欲しいと態度を軟化させる。

こうしてリンチェイは、撮影中の『東方不敗』の撮影を抜け出し、単身アメリカへと帰って行った。

『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット

決裂

91年11月25日。『野獣刑警』は主役不在でクランクインを迎える。
また、共演者の伍詠薇に関してもフランスにいたため欠席と、寂しいクランクインとなり、リンチェイ抜きでの撮影が進められることになった。

12月に入り、無事グリーンカードを取得したリンチェイがアメリカから戻ってくる。

『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット

しかしリンチェイが出したゴールデン・ハーベストに対する答えは、以前と変わっていなかった。

そして正式にこれ以上の契約延長はしない旨を通知。
『東方不敗』の撮影へと戻っていった。

『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット

とにかくゴールデン・ハーベストとは、もう一緒に仕事をしたくなかったのだ。

窮地に陥ったゴールデン・ハーベスト側は、『野獣刑警』へのリンチェイの出演を断念。(のちに成龍がリンチェイに代わって主演を引き受け、『重案組』として撮影。)

代わりに、確実に収支が見込める『黄飛鴻』の続編を、リンチェイの契約期限ギリギリに始動させるのだった・・・

『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット 『ジェット・リー物語【第11章】契約の呪縛 -1991-』のエピソードショット

『笑傲江湖之東方不敗(スウォーズマン/女神伝説の章)』基本データ

『笑傲江湖之東方不敗(スウォーズマン/女神伝説の章)』基本データ

【製作会社】 龍祥影業、金公主電影、電影工作室
【製   作】 徐克(ツイ・ハーク)
【監   督】 程小東(チン・シウトン)
【武術指導】 
程小東(チン・シウトン)、元彬(ユン・ブン)、張耀星、馬玉成(マー・ユンシク)

【出   演】 
林青霞(ブリジット・リン)、李連杰(ジェット・リー)
關之琳(ロザムンド・クワン)、李嘉欣(ミッシェル・リー)

【撮影期間】 1991年10月~12月(途中、李連杰不在で一時中断)
【公   開】 
1992-01-24(台湾)、1992-03-25(韓国)、1992-06-26(香港)、1994-12-23(日本)
【興行成績】 香港:3,450万HK$(8位)

この他の動画や詳しい情報は、
スウォーズマン/女神伝説の章/東方不敗(1992)
の記事をご覧ください。

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カテゴリ: 功夫皇帝-ジェット・リー物語.

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