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ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-


ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-


ジェット・リーこと李連杰が契約問題で揉めながらも、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』を撮影。
ドニー・イェンとも初共演し、シリーズ最高傑作とも言われる作品を生み出した時期です。(1992年)

契約問題の果て、失踪事件を起こしてしまったジェット・リー。
主演作が続々とヒットを記録する中、その裏側では悩み多き日々を送っていた頃のお話です。

契約再延長

半年間のリンチェイとゴールデン・ハーベストの契約延長。

その契約が切れようとしていた91年12月。『黄飛鴻』続編が撮影開始。

明らかに、リンチェイを縛り付けようとするこの行為に再び契約問題は紛糾。

しかし、最初の契約があと1本残っていたことも事実だった。

そこで双方が歩み寄り、書面ではなく口頭ではあったが、リンチェイは4カ月間だけ撮影に参加することを承諾。それに対して相応の報酬を受け取ることで了承した。

これを受け、制作サイドは急ピッチで続編の製作に取り掛かった。

『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット

当時のリンチェイの市場価値は1,000万とも2,000万香港ドル(約3億3千万円)とも言われ、一般的にはこのような高額のギャラでゴールデン・ハーベストが契約を勝ち取ったという捉え方をされていた。

しかし、実際にはリンチェイに対しての金銭的な保障は全くされていなかったのである。

『男兒當自強』

『黄飛鴻』の続編は、『男兒當自強(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱)』と題され、製作には徐克(ツイ・ハーク)に加え、吳思遠(ウー・シーユェン)が参加。

監督は前作から引き続き徐克が担当し、武術指導には袁和平(ユエン・ウーピン)を招き入れ、主題歌で成龍(ジャッキー・チェン)も参加。

共演は、關之琳(ロザムンド・クワン)、任世官(ヤム・サイクン)が前作から引き続き出演。
また、1作目で怪我をしたリンチェイの代役として実力を発揮した熊欣欣(ホン・ヤンヤン)を白蓮教教祖役に抜擢。

加えて、降板した元彪(ユン・ピョウ)の代わりに莫少聰(マックス・モク)、以前共演話が流れた姜大衛(デビッド・チャン)、そして体育学校の同期生である甄子丹(ドニー・イェン)との初共演がついに実現することになった。

また、孫文役で劉德華(アンディ・ラウ)の起用も検討されたが、こちらはスケジュールの都合で実現できなかった。

『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット 『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット

『男兒當自強』撮影開始から間もなく、92年1月24日、『スウォーズマン/女神伝説の章』が台湾にて公開。

リンチェイとの契約問題で揺れるゴールデン・ハーベストを尻目に、年間2位となる大ヒットを飛ばす。(『黄飛鴻』は33位。)

このことで、リンチェイに対する期待感は一層増していった。

契約問題を抱えながらもリンチェイは撮影に没頭。

珍しくリンチェイに大きな怪我もなく、撮影はいたって順調に進行。

92年の2月末ごろにはすでに、ラストの対決シーンを除いてほとんど撮影を終えている状態だった。

しかし、突然リンチェイは撮影現場から姿を消す・・・

『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット

蔡子明

話は少し遡り、リンチェイはこの頃、とある一人の人物と親しくなっていた。

彼の名は蔡子明(ジム・チョイ)

88年に大金を投資して映画会社・富藝公司を設立した人物で、この時38歳。
于仁泰(ロニー・ユー)監督、劉德華(アンディ・ラウ)出演の『轟天龍虎會』や、ジョン・ローンの『上海1920』などでも知られていた。

『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット

新進気鋭の映画会社オーナーである彼の実態を知るものはほとんどいなかった。

実は、オランダの中国系マフィアの顔役で、富藝公司はオランダでの黒いお金を洗浄するための隠れ蓑だという声まで聞かれた。

しかし、リンチェイが知る蔡子明という人物は、お金が目的ですり寄ってくる連中とは違って見えた。

『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット

彼は、リンチェイの武術の才能を認め、意思を尊重した。

そして、映画の出演や金銭といった見返りを期待せずに、誰も信頼出来ず孤軍奮闘して来たリンチェイに救いの手を差し伸べてきたのだった。

失踪

急ピッチで進む、続編制作の最中、蔡子明の富藝公司はリンチェイのために弁護士を立て、ゴールデン・ハーベストに対してリンチェイへの報酬を要求したが、相手にされなかった。

リンチェイが姿を消すことになるその日の午後7時頃。

リンチェイは撮影現場で弁護士からの連絡を受ける。

その内容は、ゴールデン・ハーベストへ提示した報酬に関する回答期限を過ぎても一切の回答を得られなかったという報告だった。

これを聞いたリンチェイはすぐ行動を開始。

その身にまとった黄飛鴻の衣装を脱ぎ捨て、徐克と袁和平へ「ゴールデン・ハーベストとの契約問題に抗議するため、撮影には参加しない」と告げる。

徐克らは当然のことに驚いたが、今撮影している一場面だけ撮って欲しいと頼み込み、それに応じて撮影を行った後、リンチェイは撮影所から去っていった。

リンチェイの突然のボイコットに、ゴールデン・ハーベストは衝撃を受けた。

既に莫大な製作費をつぎ込み、版権も売れている。

また、金銭的な損失だけではない。

これが表沙汰になれば、天下のゴールデン・ハーベストの名誉が傷つけられ、信用を失うことになるのだ。

そうしたショックとともに、首脳陣にとっては大きな屈辱であり、今までリンチェイに投資してきた分を、この作品で一気に回収し、利益を得ようとしていた分、その怒りは当然大きかった。

主役交代・趙文卓

この屈辱的な行為に対する警告として、ゴールデン・ハーベストはマネージャーの羅大衛を訴え、同時にリンチェイの今後の映画上映差し止めを法廷に申請する意向を明らかにした。

しかしリンチェイもまた一歩も譲る姿勢を見せなかった。

製作チームがなんとかリンチェイと連絡を取ろうと試みたが、一切応じず、すべてを蔡子明に託し姿を消してしまったのだ。

事態を打開するため、ゴールデン・ハーベストは度々会議を重ねる。

プロデューサーの吳思遠(ウー・シーユェン)は、リンチェイを諦め、新たな代役で撮影し直すことを提案。

徐克(ツイ・ハーク)は、1作目の成功で黄飛鴻はリンチェイ以外演じきれないと確信していたため、これに反対。翌日ついにリンチェイを探し当てる。

戻ってくるよう説得する徐克だったが、リンチェイの意志は固かった。

しかも、リンチェイの代役を探していることも、既に耳に入っていたようだった。

話は決裂し、ゴールデン・ハーベストに徐克が戻ると、吳思遠(ウー・シーユェン)がかき集めてきた代役候補たちが集まってきていた。

ひと通り全員の演技をチェックした徐克は、全員を帰らせ深いため息をつく。

徐克にはどの候補者も適任とは思えず、リンチェイとの実力差は明らかだった。

しかし、候補者の中に吳思遠の目に留まったある一人の青年がいた。

吳思遠の提案で、万が一このままリンチェイが戻らなかった場合を考えて彼を確保しておこうということになった。

その青年の名は、趙文卓(チウ・マンチェク)

趙文卓は当時20歳で、8歳から武術をはじめ、中国武術大会の剣術部門で2度優勝、現在は北京体育大学に通う大学生だった。

『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット

数日後、ふたたびリンチェイと電話で話すことができた徐克だったが、またしても良い返事はもらえなかった。

リンチェイは、徐克に対し言った。

「あなたは今でも私の良き友人です。ゴールデン・ハーベストではもう一緒に働けないけど、他のところでまた一緒に映画をつくりましょう。」

徐克がリンチェイを説得できず、気を落としていたころ、吳思遠は趙文卓との多額の契約を済ませていた。

しかし、いざ撮影が始まると、徐克の考えが正しかったことが明白となった。

全ての動作が、やはりリンチェイとは比べ物にならず、ゴールデン・ハーベストは大きく後悔することになった。

趙文卓

『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット

ジェット・リーと同じく幼少時より武術を学び、武術大会での優勝経験もある趙文卓(チウ・マンチェク/ヴィンセント・チャオ)。
その経歴を簡単に。

この時はチャンスをものにすることは出来なかったが、わずか半年後には元奎(ユン・ケイ)にスカウトされ、『方正玉(レジェンド・オブ・フラッシュ・ファイター 格闘飛龍)』へ出演。ジェット・リーの相手役に大抜擢され、銀幕デビューを飾っている。

2年後には、ジェット降板後の『ワンチャイ』シリーズで晴れて「黄飛鴻」役を獲得。

その後も、TVシリーズで黄飛鴻を演じ、現在に至るまで数多くの映画・TVに出演しています。

和解

再撮影開始から3日後、呉思遠蔡子明とのコンタクトに成功。

協議の場へ急いで赴き、和解案を提示し頭を下げる。

人望も厚く、香港監督協会の会長という高い地位にある呉思遠の申し出を無下には出来ず、和解案も妥当だと判断した蔡子明は、アメリカへ帰っていたリンチェイに、戻って撮影に復帰するよう電話をかける。

和解の内容は、リンチェイが『男兒當自強』の撮影を最後までやり遂げれば、50万香港ドル(約800万円)を支払うというものだった。

また、このお金はゴールデン・ハーベストからではなく、呉思遠の個人的な資産によるもので、ゴールデン・ハーベストの対面も保たれる形となった。

撮影中断から6日後、双方の弁護士が書類にサインをして、50万香港ドルの小切手は弁護士事務所が撮影終了まで預かることでようやく事態は収拾した。

こうして撮影現場へ復帰したリンチェイは全力で最後のシーンに挑んだ。

『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット 『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット
『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット 『ジェット・リー物語【第12章】雲隠れ -1992-』のエピソードショット

今回の件で得ることになる50万という金額はとても満足できるものではなかったが、実力行使の結果がわずかでもあったことに、少なからず満足感を得ていた。

一方、6日間でゴールデン・ハーベストが被った損失は3、40万程度で、この作品により今後生み出されるであろう利益を考えれば大きな問題ではなかった。

最終的に、『男兒當自強』は当初予定していた期間内にすべての撮影を無事終了する。

ひとまず、すべてが落ち着きを見せたかのようだったが、リンチェイにはもうひとつ解決しなければならない問題があった・・・

『黄飛鴻之二 男兒當自強(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱)』基本データ

『黄飛鴻之二 男兒當自強(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱)』基本データ

【製作会社】 嘉禾電影(ゴールデン・ハーベスト)、電影工作室、嘉峰電影
【製   作】 徐克(ツイ・ハーク)、吳思遠(ウー・シーユェン)
【監   督】 徐克(ツイ・ハーク)
【武術指導】 袁和平(ユエン・ウーピン)

【出   演】 
李連杰(ジェット・リー)、關之琳(ロザムンド・クワン)、甄子丹(ドニー・イェン)、
莫少聰(マックス・モク)、姜大衛(デビッド・チャン)、熊欣欣(ホン・ヤンヤン)
任世官(ヤム・サイクン)

【撮影期間】 1991年12月~92年2月末(または3月上旬頃)
【公   開】 
香港:1992-04-16、台湾:1992-04-24、韓国:1993-05-22、アメリカ:1993-09-01、日本:1993-09-11
【興行成績】 香港:3,040万HK$(12位)

明確な撮影開始日は明らかではありませんが、当時の新聞記事を見る限りでは早くても91年12月ではないかなと。
契約最終日の12月30日から始まったという説もあります。

いずれにしても、かなりの短期間で撮った作品ということになりますね。

失踪事件(といっても6日間ですが)があったとは思えぬハイスピード、しかも現在においての評価の高さを考えると、まさに「奇跡の一作」と呼べるかもしれません。

この他の動画や詳しい情報は、
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱/男兒當自強(1992)
の記事をご覧ください。

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