『ローグ・アサシン』での苦い経験から、より作品選びに慎重になったジェットは、次回作としてピーター・チャン監督による大作映画『投名状』への出演を決める。
そして自身の被災以降、より積極的に慈善活動に取り組んでいたジェットは、ついに念願の『壹基金(ワン基金)』の正式始動へと漕ぎ着ける。
作品選び
ジェットが不本意な作品に出演するにはワケがあった。
何年も前から温めてきた自らの企画『モンク・イン・ニューヨーク』。
この作品では、暴力やアクションといった要素が無いため、どこも出資してくれるところが見つからず、自ら出資して製作するほか道はなかった。。。
だから不本意でも、商業的な作品に出演し、資金をためる必要があったのだ・・・
そうはいったものの、やはり『ローグ・アサシン』での葛藤から、次回作選びには慎重にならざるを得なかった。
この頃、ジェットのもとへは様々なオファーがあった。
ひとつは、『ウェイ・オブ・ザ・ラット』。
古代中国を舞台としたアメコミの映画化で、主演候補にはジェットのほか、チョウ・ユンファ、チャン・ツィー、ジェイ・チョウらの名が挙がっていた。
中国とハリウッドの合作で、製作費5,000万ドル以上のビックプロジェクトだった。
また、秦から漢の時代にかけての民族興亡をテーマとした映画『長城』。
これは『ダニー・ザ・ドッグ』、『SPIRIT』と、ここ最近組むことが多かった袁和平(ユエン・ウーピン)が、10年ぶりにメガホンをとるということで話題の作品で、ウーピンがジェットの出演を熱望していた。
さらに、2004年に発売された、PS2(PlayStation 2)用ゲームソフト『ライズ・トゥ・オナー(Rise to Honor)』の続編の計画もあった。
そして、数あるオファーの中からジェットが次回作として選んだ作品が、ピーター・チャン(陳可辛)監督による『ウォーロード/男たちの誓い』であった。
『ウォーロード/男たちの誓い』は、73年のチャン・チェ(張徹)監督による傑作カンフー・アクション『ブラッド・ブラザース/刺馬』のリメイクで、当時のトップスターデビッド・チャン(姜大衛)、ティ・ロン(狄龍)、チェン・カンタイ(陳觀泰)が演じた3人を、ジェットのほか、アンディ・ラウ、金城武といった中華を代表する豪華スターが演じる作品となった。
数年前に、監督のピーター・チャンとアンディ・ラウの何気ない会話からはじまったこの作品は、主演女優が決まらないまま、12月に撮影開始。
3億元(約39億円)にもおよぶ投資で4か月の撮影期間を予定しており、1年後の2007年末公開を目指していた。
その後、主演女優については、舒淇(スー・チー)、章子怡(チャン・ツィイー)らの名も挙がったが、最終的に徐静蕾(シュー・ジンレイ)に決定。
この作品の製作費は約3.1億元(約47.6億円)と巨額であったが、その半分がキャストへの出演料であることも話題に。
うち、主演のジェットのギャラはアジアの映画としては破格の1億元(約14.6億円)、これに対して、ともに主演級の劉徳華(アンディ・ラウ)は1600万元、金城武は1200万元、徐静蕾(シュー・ジンレイ)は200万元だった。ハリウッドでも活躍するジェットのギャラは飛び抜けていたが、これでもハリウッドでのジェットの相場、1.2億元(17.5億円)よりは安く引き受けていた。
また、ジンレイとジェットのラブシーンも注目を浴びた。撮影中はジェットがとても恥ずかしがったので、「何だかこっちが申し訳なく思っちゃった。ラブシーンを演じるのに、あんな気持ちになったのは初めて」と後にジンレイは語った。
こうして、4か月に及ぶ撮影は、嵐に見舞われたりと過酷な環境下で進められて行く。
そして、後にこの作品は、ジェットへこの上ない栄誉をもたらすこととなる。
3月。
自らの撮影部分を全て終えたジェットは、次に控える夢のプロジェクトの準備に取り掛かっていった。。。
『ウォーロード/男たちの誓い』基本データ
【製作会社】 中國電影集團/他
【製 作】 Andre E. Morgan(アンドレ・モーガン)、他
【監 督】 陳可辛(ピーター・チャン)、葉偉民(イップ・ワイマン)
【武術指導】 程小東(チン・シウトン)
【出 演】 李連杰(ジェット・リー)、劉德華(アンディ・ラウ)、金城武、徐靜蕾(シュー・ジンレイ)
【撮影期間】 2006年12月2日~2007年4月頃
【製 作 費】 $40,000,000(3.1億元/約47.6億円)
【公 開】 中国:2007-12-12、香港:2007-12-13、日本:2009-05-08
【興行成績】
中国:2億元(31億円)
再生時間 1:31
再生時間 1:46
慈善活動への取り組み~壹基金(ワン基金)発足
2004年のスマトラ沖大地震以来、ジェットは時間を見つけては積極的に慈善活動に取り組んでいた。
多数の大学をまわり、若者に生命を心から愛して、大切にするように呼びかけ、また、中国のテレビ番組にも頻繁に出演し、多くの人に呼び掛けた。
そして、2007年4月19日。2年の準備期間を経て、やっと念願のチャリティー組織「壹基金(ワン基金/One Foundation)」が正式に始動。
中国紅十字会の協力をもとに、おもに天災や突発事故への救援をメインに活動することに。
※2012年12月17日現在、ワン基金公式サイトへ繋がりにくい状態になっているため、
「Jet Li Fansite 天照庵」様の関連サイト「至宝道を極める!ジェット・リー世界への手引きサイト」
へのリンクを張らせて頂いています。
2006年末から2007年にかけては、嫌な噂や話題も多かった。
『ウォーロード/男たちの誓い』の撮影時には、一部の台湾メディアがジェットが「文盲」であると報じたり(共演者のアンディ・ラウらがそれを否定)、『SPIRIT』に対して、霍元甲(フオ・ユエンジァ)の親族を名乗る人物が、名誉棄損の訴えを起こしたり(裁判所はこの訴えを棄却、またこの人物についても実際に親族かどうかの証明はできないとされた。)、また上海で30億円もの大豪邸を建設中(10年前に4000万元(6億円)で購入した土地の地価が上がったため。完成後に実際に取材に訪れたメディアも、報道されているような豪邸ではないと否定した。)等々。。。
しかし、ジェットは何よりも念願のチャリティー組織が発足した喜びと、これから撮影される夢のプロジェクトへの期待感でいっぱいだった。
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怒涛のUP、有難うございます!
行って参りましたよ!龍門飛甲!
12日まで「ワイヤー、シウトン、3Dかぁ~」とか
「中国初3D」って、ジェットってば意外とミーハーなんだからぁ~
などと思っておりましたが
13日の夜に、前章までを読ませて頂きまして
やはりまた感動し、改めて猛省致しました!!
明けて14日、観賞に向かう頃には、
もうまるで高僧の説法を聞きに行くかの如く
そのお姿を拝見出来るだけで有難い!
といった心境で臨む事が出来ました(笑)
有難うございました
ただ1点、じゃ、なんでローグに出たの?って思ってたら
そう言う事だったんですね!なるほどねぇ~
残す所あと少しになって来ましたね
早く読みたいけど、終わっちゃうのもなんだか寂しいような・・・
あまり無理なさらず、ゆっくり作業して下さいね
このジェットリー物語
書籍化して頂きたいです、ホントに
ジェット本人は多分、自伝とか出さない感じがするので
kungfufanさんは北海道にお住いなのですね
19日以降、観に行かれるのでしょうか?
あの方が意外と大活躍で、ニヤッとしちゃいましたよ
junfanさんこんばんは☆
ついに観られたんですネ!おめでとう?ございます!
>高僧の説法を聞きに行くかの如くそのお姿を拝見出来るだけで有難い!
悟ってますね~(笑)
もしかしたら最初で最後の3Dジェット作品になるかもしれませんもんね。
ただ、中国で大ヒットした割には日本での宣伝活動は地味な気がするんですが…
李連杰物語をギリギリまで読んで頂いて嬉しいです。
地味にこれまでの記事の中で一番苦労してるシリーズだったりするので。
私的にはもうすぐ解放されるという解放感が強かったりして(苦笑)
でも、ほんとは14日までにドラゲーまで追いつかせようと踏ん張ったのですが
ダメでした。ごめんなさい(;д;)
私はまだいつ行けるかわかりませんが、後から行くとパンフが売り切れることが
こちらではよくあるので、早めに行きたいなと思ってます(^^)
>あの方…気になりますね~楽しみ☆