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ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-

ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-


契約最後の作品『ヒット・マン』を撮り終え、長い間、苦しめられてきた契約や金銭問題からようやく解放。
引退し仏教の道へと進むことも考えたジェット・リーだったが、高僧の助言で思いとどまる。

その時、転機は訪れる。
期せずして、ジェットはハリウッドスターへの道を歩み始めることとなった。。。

引退と仏の道

1997年、香港返還の年。

香港の映画人たちは、生き残る術として続々とハリウッドへの進出に乗り出し始めていた。

リンチェイのもとへも、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演『ダブル・チーム』でハリウッドでの監督デビューを果たした盟友・徐克(ツイ・ハーク)から、次回作『ノック・オフ』での、ヴァン・ダムとの共演を打診されていたが、これを断った

さらに、ベルリン映画祭金熊賞を2度受賞し、既にハリウッド進出していたアン・リー(李安)監督からも、後の『グリーン・デスティニー(臥虎藏龍)』となる作品への出演オファーがあったが、返答を保留
そのかわり、ユエン・ウーピン(袁和平)をアクション監督に推薦、さらに中国で映画を製作するのであればと、名プロデューサーであるチュイ・ポーチュウ(崔寶珠)を紹介した。ともにこれまで仕事をしてきた中でも、リンチェイが認める実力の持ち主2人だった。

そして自らは、永盛娯楽との契約最後の作品となる『ヒット・マン』への出演を終え、芸能界から引退する意思を固め始めていた。。。

幼い頃からひたすら武術の訓練に勤しみ、気が付けば映画界で契約問題や事件に巻き込まれ、さらには度重なる怪我や病気・・・リンチェイの心身は疲れきっていたのだ。

借金の返済や、これまで交わした契約の履行を終え、これを機に、前々から考えていた「仏教」の道に進むべきなのでは、と考えていたのである。

関連作品と幻の出演作

ある日のこと、まだ迷いのあったリンチェイは、とあるチベット仏教の高僧を訪ねた。

『ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-』のエピソードショット

しかしそこで、「あなたには使命がある。そしてその使命は自分で探さなければならない。まだ辞めるべきではない。」と助言される。

そして、このことがきっかけで、「まだ自分には映画人として出来ることがあるはず・・・」と思い直したリンチェイは引退を撤回。そして「映画を通して自分に何が出来るか」という、新たな人生のテーマ探しが始まることに。

さらにこの機に、運勢を変えられると勧められた、鼻のほくろの除去を決意。

・・・それから5日後。病院で手術を受けたリンチェイの鼻からはほくろが無くなっていた。

運命のオファー

ほくろの除去手術を終え、リンチェイが帰宅したその瞬間、電話が鳴った。

電話の相手はアメリカの映画会社ワーナーブラザーズ

これまで全世界で6億7千万ドルもの興行収入を稼ぎ出している大ヒットシリーズ『リーサル・ウェポン』の第4作目への出演オファーだった。

『ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-』のエピソードショット

提示されたギャラは4億5千万円。。。これまでの相場の倍近くでのオファーだった。

リンチェイの起用は、後に『マトリックス』で有名になるウォシャウスキー兄弟がリンチェイのファンで、製作チームへ働きかけたことがキッカケとなり、監督のリチャード・ドナーたっての希望でもあった。

ただその配役は、これまで多くの英雄や正義の人を演じてきたリンチェイにとって未知の領域となる「悪役」でのオファーだった。

難しい決断ではあったが、悩んだ末、オファーを引き受けることに。

こうしてリンチェイのハリウッド進出が急遽実現し、新たな決意を胸に、リー・リンチェイあらため「ジェット・リー」としての再スタートが始まった!!

ハリウッドでの初仕事

年が明け、1998年1月。
いよいよ、初のハリウッド進出作品となる『リーサル・ウェポン4』が撮影開始。

しかし、ジェットリーが悪役でのハリウッド進出を決めたことに対して、撮影前からファンの間で賛否両論が巻き起こっている中での撮影スタートであった。

かくして始まったハリウッドでの初仕事。
これまでもたびたびタッグを組んできた元奎(コーリー・ユン)をアクション指導に呼び寄せたが、やはりこれまでとは勝手が違う。
たとえば、格闘シーンの撮影では最初、メル・ギブソンがジェット・リーの動きのあまりの速さについて来れず、やむなくジェット・リーが動きを遅くして演技をしなければならないこともあった。

さらには、はじめての悪役への挑戦。

『ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-』のエピソードショット 『ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-』のエピソードショット

撮影は5月まで続いたが、ジェットは新境地を開くべく、持ち前の順応力でそれを見事に乗り切った。

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1998年7月。『リーサル・ウェポン4』全米公開。

中国武術界の至宝、リー・リンチェイは、ついにハリウッドデビューを果たす。

初の悪役、そしてハリウッド映画出演にもかかわらず、その冷酷で最恐な演技が評価されMTVムービー・アワード 悪役賞にもノミネートされるに至り、世界のジェット・リーとしてのあらたな一歩を踏み出すこととなった。

1億4,000万USドル(160億円)という莫大な製作費によってつくられたこの作品は、全米オープニング興収で1位を獲得。

最終的には全世界で2億8,500万USドル(320億円)を稼ぎ出し、よりジェット・リーの名を世界に広めることになり、この後ハリウッドからの出演オファーが続々と舞い込むことに。

また、この映画への出演がきっかけで、これまで低迷していた日本でも、注目度が再度高まり、リー・リンチェイあらため「ジェット・リー」という呼び名が定着していくこととなった。

『ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-』のエピソードショット

『リーサル・ウェポン4』基本データ

リーサル・ウェポン4/Lethal Weapon 4(1998)

【製作会社】 シルバー・ピクチャーズ
【配   給】  ワーナー・ブラザーズ
【製   作】 ジョエル・シルヴァー、リチャード・ドナー
【監   督】 リチャード・ドナー
【武術監督】 コーリー・ユエン(元奎)
【出   演】 
メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ジョー・ペシ
レネ・ルッソ、クリス・ロック、ジェット・リー
【撮影期間】 1998年1月8日 – 1998年5月13日
【製 作 費】 140,000,000$
【公   開】 アメリカ:1998-07-10、日本:1998-08-01、香港:1998-08-06
【興行成績】 全米:130,444,603$ 年間ランキング11位、全米オープニング興行成績:34,048,124$ ランキング1位
香港:16,431,389 HK$  年間ランキング12位、全世界興行収入:285,444,603$

ハリウッド初主演!

年は明け、1999年。

『リーサル・ウェポン4』を製作したヒットメーカー、ジョエル・シルバーは続けて『マトリックス』を製作。
全世界で4億5,600万ドルを稼ぎだし、ワーナー・ブラザーズ始まって以来の大ヒットを飛ばす。

そして、『リーサル4』でのジェット・リーの圧倒的存在感に魅了されたシルバーは、これまでにないマーシャルアーツ映画を目指して、ジェット主演による次回作『ロミオ・マスト・ダイ』の製作を決定。

監督は『リーサル4』で撮影監督を務めたアンジェイ・バートコウィアクを抜擢。
アクション監督は引き続き、元奎(コーリー・ユン)に依頼。また、この作品で映画デビューを果たす、歌手のアリーヤが共演となった。

『ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-』のエピソードショット

さらに、『マトリックス』でアカデミー賞視覚効果賞を受賞したマネックス・ビジュアル・エフェクツ(MVFX)の最新VFXを導入することに。

ジェットは、アクション監督のコーリー・ユンらとともに、クランク・インの数週間前からファイトシーンの演出を練り上げ、ハリウッド初主演作品に備えていた。

『ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-』のエピソードショット

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『ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-』のエピソードショット

1999年5月3日。『ロミオ・マスト・ダイ』撮影開始。

この頃すでにジェットは、流暢な英語を話せるようになっており、この作品でも前回とは違い英語のセリフを自ら話すことに。

『ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-』のエピソードショット

前作(『リーサル・ウェポン4』)では4つだったアクションシーンは、今回8つに増加。

特に一番苦労したのは、ロープで片足を縛られ逆さ吊り状態でのファイトシーンだった。
その撮影には5日間を要し、これまでにないアクションを作り上げる。

さらにラッセル・ウォン(王盛德)とのラストバトルでは、真夏のスタジオ内に大がかりなセットを設置。
撮影の5日間、たいまつの火を常に絶やさぬように、大量のプロパンがタンカーに積まれて運び込まれていた。

これまでのジェットの感覚では、このシーンの撮影には20日間を要するだろうと思われていた。
しかし、与えられた時間はとても短く、もっと時間をかけられるよう懇願したものの、すべてがきっちりと管理されたハリウッドの現場では不可能だった。
そのためアクションシーンに関しては不満が残る結果となった。

『ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-』のエピソードショット 『ジェット・リー物語【第18章】Hollywood! -1997~1999-』のエピソードショット

また、エンディングに関しては2つのバージョンが撮影され、不採用となったバージョンにはジェットとアリーヤのキスシーンが含まれていた。

こうして1999年7月23日、『ロミオ・マスト・ダイ』の撮影は無事終了、全米での公開は翌2000年の3月に決まった。

しかし、またもや中国での公開は実現しなかった。今回の理由は主題がギャング同士の抗争だったためである。

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『ロミオ・マスト・ダイ』基本データ

ロミオ・マスト・ダイ/Romeo Must Die(1999)

【配給会社】 ワーナー・ブラザーズ
【製   作】 ジョエル・シルバー
【監   督】 アンジェイ・バートコウィアク
【武術指導】 元奎(コーリー・ユン/ユン・ケイ)
【出   演】 ジェット・リー(李連杰)、アリーヤ、イザイア・ワシントン、DMX

【撮影期間】 1999年5月3日 – 1999年7月23日
【製 作 費】 $25,000,000(約27.5億円)
【公   開】 アメリカ:2000-03-22、香港:2000-04-20、日本:2000-05-13
【興行成績】 
全米:$55,973,336(約61.5億円) 年間ランキング48位 オープニング成績2位
全世界:$91,036,760(約100億円) 年間ランキング50位

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カテゴリ: 功夫皇帝-ジェット・リー物語.


6 件のコメント

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  1. オーケー says

    こんにちは。応援ありがとうございます!大変嬉しいです。(ToT)
    こんなにすごいHPを作られているkungfufanさん(ツイッターではkungfutubeさんとお呼びしてますが、どちらでもいいですか?)に「期待してます!」と言われると、身の引き締まる思いです。(笑)

    ほんの少しですが、kungfufanさんのご苦労が分かるようになり、今すごく気になるのがkungfufanさんの私生活です。本当は宝くじを当てたか石油王の息子とかで、朝から晩までHP作成をしてるんじゃないか…?(^^;と思うほど、更新の頻度がハンパないので!!それでもこの更新の量は説明がつかないのですが…。( ̄Д ̄;;これも慣れなんでしょうか?くれぐれもお体お気を付け下さいね。HPの記事作成しながら昇天なんて、嫌ですからね!!(ToT)

    そういえばワイヤーで飛ぶのはあまりお好きじゃなかったですね。(^^;私も昔はワイヤー好きじゃなかったんですが、「香港映画独自の文化」と思うようになってから、観方が変わりました。で、その中でもチン・シウトン割と好きです。「妖刀・斬首剣」なんか、かなり感動しました!(ToT)「スォーズマン」も、彼得意のファンタジックな殺陣で、独自の世界観!ドラゴンボールの実写化的に捉えてます。(笑)そして、ブリジット・リンがヤバすぎるくらいの妖艶さ!!w(゚o゚)w オオー!レビューはかなり先と思いますが、(--;)なんとか「ドラゴンゲート」公開終了までには更新しようと思ってます。(^^;気長にお待ちくださいませ。m(_ _)m

    • kungfufan says

      オーケーさんこんばんは。
      名前はどちらでもいいです。(長いので改名検討中ですw汗)
      石油王の息子なら良かったんですけどね(^_^;)
      でも、たぶんそうなら外注に出してますねw
      あと投資してジャッキー映画撮ってます。超豪華キャストで(^^)
      更新はそうですね~。とにかく私生活は全て投げ打って時間をかけてます。
      前にもお話したように書きかけというか事前準備は終わっているものが
      何百とあるので、時間がある時に寝ずに一気に貯めておいてる状態かな?
      あまりに時間がかかって途中で挫折した記事も相当ありますけど。。。
      いつ前みたいに更新できなくなるかわからないので、やれるときに
      やってしまおうかと。
      シウトンは…まだやっぱり苦手かな~?
      でも、年齢とともに好みも変わって来るので、
      いつの日か好きになれる日も来るかもしれませんね。
      私もドラゴンゲート公開まで日数が迫ってきてちょっと焦り気味(^_^;)
      お互い頑張りましょう(^▽^)/

  2. オーケー says

    こんばんは。久々のジェット・リー物語更新、ありがとうございます!

    最近、「スォーズマン/女神伝説の章」を一月二日に二回連続で、二社から出たのを見比べてたので、w(ブログで比較検証?いずれします。)今回思い入れを持って読みました。

    引退を考えてた時に、チベット僧から言われて踏みとどまって、ハリウッドスターへって、まんま映画になりそうな人生ですが、(^^;その僧侶の方に感謝ですね。w

    リーサル・ウエポン4は、以前ジェットの出演部分だけ観ましたが、(^▽^;)ほんと最初悪役って聞いた時は「絶対無理!」と思ってたんですが、すごい怖くて、((´д`)) 彼の演技力を感じたのを覚えてます。

    ロミオマストダイって、私なぜか当時何回も観てて、(^^;アリーヤも綺麗!(*´ェ`*)ポッと思って結構好きだったんですが、その後若くして亡くなられましたよね…。

    「ドラゴンゲート」は絶対!映画館に観に行きたいし、当ブログでも応援企画と称してレビュー載せる予定です。ジェット・リー関連も私は期待しております!(^∇^)では。

    • kungfufan says

      こんばんは(^^)
      ジェットも一緒に盛り上げたいと思ってるので、とっても心強いです!
      「スウォーズマン」2回連続ですか!それはヘビーですね(^_^;)
      私はどうしてもチン・シウトンが苦手なので連続はキツイっすw
      でも私は一番最近のやつは持ってないので、比較レビュー楽しみです☆
      あとアリーヤもそうですが、ジェットは共演女優さんがなかなか素敵なんですよね~☆
      「ドラゴンゲート」応援企画も期待してます!
      オーケーさんも頑張ってください!!

  3. ビックムーン says

    ジェットってジャッキー以上に波乱万丈の人生だったのですね・・。
    ドラゴンキングダムを見た時、その表情の奥深さがジャッキーと
    雲泥の差(笑)だったので、役者としての力量は勝っているのでは
    と感じました。それを認めてて、昔から可愛がっていたジャッキー
    の懐の深さにまた感動します。

    • kungfufan says

      ジェットは若くして一気にTOPになっちゃったが故に、
      経験不足や切磋琢磨できる仲間やライバルに恵まれず、
      その後苦労してますね。ケガや病気が多いのもキツかったでしょうね。
      その辺りが演技に反映してるのかもしれませんね。
      対照的にジャッキーはスターになるまでの下積みが長かった分、
      経験も豊富で仲間にももの凄く恵まれてますね。



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