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ジャッキーチェンはどちらの『梁山伯與祝英台』に出演していたのか

『ジャッキーチェンはどちらの『梁山伯與祝英台』に出演していたのか』の画像

ジャッキーチェンが子役として出演しているといわれる『梁山伯與祝英台』。
公式サイトをはじめ、一般的には1963年ショウブラザーズ作品とアナウンスされているが、はたして本当にそうなのだろうか?

こまかいところが気になる管理人としてはこのままスルー出来ず、ちょっとだけ調べてみることに。

右の画像は1963年ショウブラザーズ版『梁山伯與祝英台』の画像。

ショウブラザーズとMP&GI

当時の香港映画界はショウブラザーズとMP&GI(國際電影懋業公司)という2つの映画会社がそれはもう熾烈な争いを繰り広げていたそうです。

『四千金』『空中小姐』等をヒットさせたMP&GIに対して、『江山美人』で巻き返したショウブラザーズは、MP&GIが中国の四大民間説話の一つ『梁山伯與祝英台』をリー・リーホァ(李麗華)とユー・ミン(尤敏)主演で製作するとの話を聞きつけ、看板女優である樂蒂(ロー・ティ)と新人同様の凌波(リン・ポー)を起用して大急ぎで同作品を製作しいち早く公開してしまう。

するとこれが大ヒット。アジア映画祭では4部門、台湾金馬奨では最優秀作品賞、監督賞(リー・ハンシャン)、主演女優賞(ロー・ティ)、特別演技賞(リン・ポー) 、最優秀音楽賞、最優秀編集賞など主要6部門の賞を受賞し大成功を収める。

一方、先を越されたMP&GI版『梁山伯與祝英台』は翌年の1964年に公開されたが惨敗し、結果的にこの作品がショウブラザーズ対MP&GIの争いにおいてショウブラザーズ勝利の決定打となった。

公式サイトや自伝における記述

ジャッキーチェンの自伝『I AM JACKIE CHAN』巻末の「僕の映画」欄において、

The Love Eternal(1963)・・・子役としてリー・リーファと共演したもう1本の映画
との記述あり。

同様にジャッキーチェン公式サイトのフィルモグラフィーにおいても子役出演として

The Lover Eternal (1963)
とアナウンスされている。

この「The Lover Eternal」とはショウブラザーズ版『梁山伯與祝英台』の英題であり、その他パンフレットや書籍類でもこちらのショウブラザーズ版が出演とされている。

で、結局どちらが出演作か

ポイントは自伝の記述にある「子役としてリー・リーファと共演」という部分なのだが、当然この記述を信頼すればMP&GI版で決定と簡単にいくのだが、そう単純にもいかない。
なんせこの自伝自体、ジャッキーの記憶に頼る部分が大きく、数多くの記憶違いが書かれているから困ってしまう。
『I AM JACKIE CHAN』以前に発売されたもう一つの自伝『愛してポーポー』にいたっては、初出演作が

『梁山伯與祝英台』(1965 ショウブラザーズ)
となっていて。2作目が
『秦香蓮』(1966 ショウブラザーズ)
となっている。製作年も違うし、『秦香蓮』はショウブラザーズ作品では無い。もっとも、この自伝でジャッキー本人も子役の時の記憶はあまりないと語っている。

話は戻り、『I AM JACKIE CHAN』において、現在では初出演作とされている『Big and Little Wong Tin Bar(大小黃天霸)』について、

とても有名な台湾のスター、リー・リーファが僕の母親役を演じた。彼女にも特別な印象を与えたらしく、この後、何本か他の映画でもリーは僕を彼女の息子役に抜擢してくれた。
とあるが、この作品にリー・リーファは出演していない。
おそらくこれは『秦香蓮』を指しているのではと思われるが、いまのところジャッキーとリー・リーファの共演がわかっているのはこの『秦香蓮』しかないので、さすがに一作品しか共演していないのに何本か共演とは記憶違いしないのではないかと思う。

なので、『I AM JACKIE CHAN』における『梁山伯與祝英台』で子役としてリー・リーファと共演したもう1本の映画という記憶は間違っていないのではと私は結論づけました。
ただ、ショウブラザーズ版の『梁山伯與祝英台』が大ヒットし、強烈な印象があるため公式ページを含むフィルモグラフィーが間違ってしまってるのでしょう。

と、結局なんら証拠も確証もなく恐縮ですが、当サイトではジャッキーチェン出演作は1964年のMP&GI版『梁山伯與祝英台』という方向で行きたいと思います。

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カテゴリ: ジャッキーチェン研究室.

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7 件のコメント

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  1. もら says

    はじめまして。もらと申します。
    今更なコメントなのは重々承知ですが…
    こちらは北京大学での講義の内容を起こしたものですが、
    はっきりと「李麗華と嚴俊の」と語っております。
    http://www.chinareviewnews.com/doc/1000/5/0/1/100050199.html?coluid=0&kindid=0&docid=100050199
    抜粋しますと
    「第一部是我6歲半的時候,第一部戲是《梁山伯與祝英台》,是李麗華和嚴俊,你們可能都不認識,第二部才是凌波和樂毅。我是演神童,嚴俊導演喜歡,第二部戲就做秦香蓮的兒子」
    (訳:デビュー作は6歳半の頃、『梁山伯與祝英台』、李麗華と嚴俊のやつね、
    君たちは知らないと思うけど、二本目が凌波と樂蒂(※原文は誤り)版なんだ。
    僕は神童を演じたけど、嚴俊監督に気に入られて、次の作品では秦香蓮の息子を演じたんだ)
    と言っています。
    時系列がkungfutubeさんのご説明とは違っているので、
    ジャッキーが記憶違いをしているかもしれません。

    またこちらの番組
    http://www.youtube.com/watch?v=rtFc_tP9qzs(31:53あたりから)
    でも『梁山伯與祝英台』出演時のことを語っており、はっきりと
    「李麗華の」と言っています。
    倪匡の「樂蒂のやつじゃなくて?」という質問には
    「違~う!もっと前のやつだよ」とここでもちょっと勘違いしているようですね。

    その他に『魚美人』 『大小黃天霸』 『猴子兵華山救駕』といった作品名を
    挙げています。

    『大小黃天霸』については蔡瀾が「お前らガキがうろちょろしてたやつだろ?」
    とツッコミを入れていますがw。

    今更必要ない情報かもしれませんがご参考になれば幸いです…

    • もら says

      すみません、お名前はkungfufanさんでしたね。失礼致しました…

    • kungfufan says

      もらさん、はじめまして(^^)
      あ、名前は気にしないでください。どっちでも良いので(^_^;)

      貴重な情報と資料をありがとうございます。
      いまひとつわからないのですが、「第一部是・・・
      の文は、凌波と樂蒂版にも出たと言ってるんでしょうかね?

      李麗華と嚴俊版に関しては確信があったのですが、
      てっきりジャッキー本人も勘違いしていると思ってましたけど、
      ちゃんと認識してたんですね。まわりが間違ったということでしょうね。

      あと時系列のことですが、

      ⇒國泰版「梁山伯與祝英台」製作開始(または製作準備)
      ⇒ショウブラ版「梁山伯與祝英台」が急ピッチで撮影、1963年4月3日公開
      ⇒「秦香蓮」が1963年12月21日公開
      ⇒國泰版「梁山伯與祝英台」が1964年12月24日公開

      と言う流れなので、ジャッキーの言うように、「梁山伯與祝英台」が先という
      のも可能性としてはありそうですね。
      どうして國泰版がこんなに遅れたかがわからないのですが、
      先を越されてしまい、同時期のバッティングを避けるため、
      完成していたにもかかわらず、公開をあえて遅れせたのかも、、、

      あと、テレビ番組の情報ありがとうございます。
      初めて観ました♪
      私には言葉がさっぱりなのが残念ですが、
      この時期のテレビ番組は貴重なので嬉しいです。
      蔡瀾がホストなことに一番驚きましたが・・・

      ジャッキーの学院時代の出演作ってきっとまだまだありそうですね。
      いろいろとありがとうございました。
      また、何かお気づきのことがあれば是非お知らせください(^▽^)/

      • もら says

        恐れ入ります(^_^;)…
        「第二部才是凌波和樂毅」の「第二部」はあくまで『梁山伯與祝英台』の二作目、
        つまり最初がキャセイ版、次がショーブラ版という意味で、
        「第二部戲就做秦香蓮的兒子」の「第二部」は、自身にとっての二作目という意味ですね。
        ここらへんの時系列は、kungfufanさんの説明で納得できますね。
        ただ『梁山伯與祝英台』がデビュー作というのは勘違いかな、とも思いますね(^^;)

        そうです、蔡瀾は昔からこんなことやってたんですよww
        他にも貴重な(&どっかで聞いたような)エピソードいろいろ語ってるんで、
        ゆくゆくは全編訳したいんですが一生かかるかもしれません…

        小出しでどこかでご紹介できたらします!

        それでは失礼致しますm(_ _)m

        • kungfufan says

          もらさん、度々ありがとうございます。
          なるほどー、そうでしたか。
          デビュー作、この辺りは資料に乏しく確信は無いのですが、
          それまでの七小福での出演ではなく、個人での初出演(デビュー)という
          ことかもしれませんね。

          今回の年表作成では子役時代はざっくりと大まかに
          表現しましたが、色々と謎や矛盾点も多いんですよね。。。

          あと翻訳ですが、小出しでも良いので、
          いつかご紹介して頂けると嬉しいです☆

  2. 醒龍 says

    こんにちは。はじめまして。
    私も一時期この問いに悩んでいました。
    kungfufanさんと同様、ショウブラザーズ版ではない方の『梁山伯與祝英台』に出演していたと思っています。私が読んだ参考書に「キン・フー武侠電影作法」があります。
    こちらに双方の『梁山伯與祝英台』について記述がありました。もちろんジャッキー・チェンに関することは何も記述はありませんが、キン・フーによるショウブラザーズ版ではない『梁山伯與祝英台』の貴重な証言になりますね。実際私はこのMP&GI版を目にした事はありませんが、キーワード李麗華と監督の厳俊からこちらを信じています。(ショウブラザーズ版にそれらしい箇所も無いようでしたし・・)

    • kungfufan says

      こんな作りかけのサイトに来て下さって感謝!です。
      ホント初期の作品は謎が多いですよね。
      李麗華との共演作品がまだあっても良さそうですし・・・
      徐々にコンテンツ増やしていきますので良ければまた来て下さいね。



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