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「必殺鉄指拳」じゃダメなんだ!真の“ジャッキー初主演作”ブルーレイ化を切望します!!

「必殺鉄指拳」じゃダメなんだ!真の“ジャッキー初主演作”ブルーレイ化を切望します!!

2014/8/20 「偽ジャッキーは一体誰だ!?」を追記しました。⇒⇒コチラ

2014/8/6に発売されたジャッキー主演『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』のブルーレイ。(商品レビューはこちら

商品自体は驚くほどの高画質で素晴らしいとは思うのですが、いかんせん作品自体がク○(自粛)。『鉄指拳』はいわゆる『ジャッキー・チェンの醒拳』と同じような感じで、ジャッキーの知らざるところで勝手に改編されて公開されてしまったワケあり作品。

では改編前のオリジナル作品『広東小老虎(日本では『燃えよジャッキー拳』や『タイガー・プロジェクト』としてリリース)』はどのような作品なのか。ジャッキーの自伝でも語られているように、ジャッキー自身の評価は低く、『必殺鉄指拳』の影響やソフト自体があまり広く流通していないこともあって、「ジャッキーの記念すべき初主演作」にもかかわらず、正統な評価を受けていないのではと強く感じています。しかも海外のデータベースサイトなどではこの2本が同一の作品として扱われていることもかなり多く見られます!なんと嘆かわしい…。最初に言っておきますが、検証の結果、改編作品である『鉄指拳』に使われているオリジナルの映像はなんと36分しか使われていない!のです。実に全体の6割までもがインチキ映像なワケですよ!これでジャッキーの初主演作を観たとは言えないのです!!

本記事では、そんなオリジナルの初主演作の魅力をご紹介しながら、改編作品に対する愚痴や怒りを発散しつつ、今回のような超高画質での『タイガー・プロジェクト』ブルーレイ化を祈願したいと思います。

『広東小老虎』と『刁手怪招』の概要

当ブログをご覧頂いている方はご存知の方が多いと思いますが、この作品まわりについて軽く説明しておきます。

ジャッキーは1973年にようやく映画初主演のチャンスに恵まれます。それが『広東小老虎』という作品でした。

しかし、ちょうどこの頃ブルース・リーが亡くなって、功夫映画は急速に下火となってしまい、映画自体も超低予算映画ということも手伝って、お蔵入りになってしまいます。ジャッキーの初主演作は幻になったわけです。

その後、なかなか売れずに燻っていたジャッキーでしたが、5年の月日を経て『蛇拳』と『酔拳』が大ヒット。一躍スターになります。

ここでようやく初主演作が日の目を見ることとなるのですが、それは純粋な初主演作の『広東小老虎』ではなく、『蛇拳』や『酔拳』でジャッキーと共演した袁小田や石天らとジャッキーのダミー俳優を使って追加撮影し、内容を改編した問題作でした。それが『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』(原題:刁手怪招)なのです。

実際は『広東小老虎』は韓国のみで劇場公開されたという話もあるようですが、真偽は不明です。また改編後の『刁手怪招(必殺鉄指拳)』も台湾で’79年に、韓国で’89年に劇場公開されたようですが、香港での公開記録は未だ見つけることができていません。

あと、『刁手怪招(必殺鉄指拳)』には贅沢なことに「昼バージョン(米国公開)」と「夜バージョン(中国公開)」の2種類が存在します。(今回のBlu-rayには共に収録。)ちなみにこれはラスト10分ほどの大ボスとのバトルが昼か夜かというぐらいの違いです。

日本では、両作品とも劇場公開はされていませんが、ビデオ、DVD、そして今回のブルーレイと様々なタイトルでリリースされていますが、特に『広東小老虎』は唯一のDVD(『タイガー・プロジェクト』)が画質も悪く、流通量が少ないためか中古品が結構な高額で取引されています。。。

これまでに国内で発売された『広東小老虎』関連商品



オリジナルの『広東小老虎』は日本では『燃えよジャッキー拳』と『タイガー・プロジェクト/ドラゴンへの道 序章』というタイトルでリリースされています。(DVDは後者のみ。)

『燃えよジャッキー拳』ビデオ

『タイガー・プロジェクト/ドラゴンへの道 序章』ビデオ

改編作品の『刁手怪招』は『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』と『ジャッキー・チェンinビッグマスター』というタイトルでリリースされています。(おそらくDVDは前者のみ)

『燃えよジャッキー拳』ビデオ

『タイガー・プロジェクト/ドラゴンへの道 序章』ビデオ

なんでもオリジナルの『広東小老虎』のフィルムは世界でたった1本しか無いのだとか。本当かどうかわかりませんが、この辺がBlu-ray化に障害となっているんでしょうかね~。

タイトルが多くて紛らわしいので、ちょっとまとめてみます。

 『広東小老虎』
(オリジナル作品)
『刁手怪招』
(改編作品)
製作時期1973年夏(当時の新聞記事で確認済)1978~1979年(ジャッキーは不参加)
公開未公開(韓国では公開されたとの噂あり)1979年台湾(香港では公開自体不明)
監督魏海峰(ナン・ホイフン)金鑫(チン・ミン)
時間84分85分(うちオリジナル版の映像は36分!)
邦題『燃えよジャッキー拳』
『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』
『ジャッキー・チェンの鉄指拳』
『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』
『ジャッキー・チェン in ビッグマスター』

『広東小老虎』の魅力とキャスティング比較

では、あらためて『広東小老虎』の魅力をまとめてみます。

  • 紛れもなく、記念すべきジャッキー・チェンの初主演作である。
  • 当時19歳と言う若さのジャッキーを存分に観ることができる。
    (主演という点では本作以外では3年後の映像しか見られない。)
  • ジャッキーは本作で武術指導も担当しているが、もう一人の武術指導は学院時代から仲が良かった元奎(ユン・ケイ)。まだ経験も浅く未熟な二人が試行錯誤しながら作った様が思い浮かぶ。
  • 敵のチンピラ役で弟分の元彪(ユン・ピョウ)や後に成家班を支える火星(マース)らも出演。その姿はしっかりと映像で確認することが出来、ジャッキーとの格闘場面もある。
  • 本作でのジャッキーの師匠(父親代わり)は『ヤング・マスター』や『ドラゴンロード』同様に田豐(ティエン・ファン)が務めている。
  • 後のヒット作のようなコミカルな要素は無いものの、羅維時代の初期作品に比べて比較的軽めのキャラクターで、笑顔の無邪気なジャッキーも観ることが出来る。
  • やはり羅維の縛りが無いせいか、その後のヒット作につながるような要素が随所に見られる。これは非常に重要なポイント。

一方、改編作品はとにかくオリジナル版をカットしすぎ!冒頭でも書きましたが、オリジナル版の映像は36分!。『蛇拳』『酔拳』のヒットで、そのキャストである袁小田(ユエン・シャオティエン)や石天(ディーン・セキ)、蔣金らを出演させた意図はわからなくもないですが、とにかくくだらない。

そもそものっけから改編版キャストの權永文で始まり、少年時代の映像が延々と流れ、開始から17分ほどでやっとジャッキーの登場。早速の貴重な一人演舞のシーンまでも半分にカットして、端々で袁小田(ユエン・シャオティエン)のワンカットを挿入するという暴挙。

まぁ、愚痴は尽きないのでそれは追々、ということで両作品の主要なキャストをまとめてみました。

両作品の主要キャスト

俳優『広東小老虎』
(オリジナル作品)
『刁手怪招』
(改編作品)
備考
陳元龍(成龍)
陳元龍(成龍)
タイガー(小虎)リュウ前面には押し出されていないが、普通にいたずら好きな明るい青年。特に喧嘩好きでもないがよく巻き込まれる。
舒佩佩
舒佩佩
ホイラン姉(従姉)オリジナル版では主人公と血縁関係ではないので、恋に発展する可能性も。改編版では主人公の姉として育つが実は従姉。この舒佩佩という女優さんはシュー・ペイペイ。本作が確か引退作なはず。私にはスタイルの悪い黒木メイサにしか見えない…。
田豐
田豐
ハン(洪)コウ(洪)オリジナル版では主人公の父と同門の弟弟子。改編版では実の弟という設定に変わっている。ジャッキー作品の厳格な父役といえば、私はやっぱりこの方ですね。『ヤングマスター』『ドラゴンロード』でも同じような役どころを演じています。ただ、本作での厳格っぷりは凄まじく、もはや虐待レベル。重要な注目ポイントです。
韓國材
韓國材
リトル・ピッカー(小鬼)スリオリジナル版では主人公の友人ながらも悪党一味の下っ端。一味を裏切ったことで殺害されちゃいます。号泣シーンやお婆ちゃんとの感動(?)の場面なんかもありますが、これはさすがにいらなかったかも。改編版ではその辺りはバッサリ切られています。こちらは一味ではなく、主人公の友人ということで殺害。この韓國材という俳優さんはこの作品以前のジャッキー端役時代は同じ作品に出てることが多かったようですが、これ以降は一切絡みは無し。もう一つの問題作『ジャッキー・チェンの醒拳』でも擬似共演しています。
袁小田
袁小田
無宿大将改編版オリジナルキャスト。主人公を少年時代から密かに鍛え上げた師匠役。当時、仕事選ばず似たような作品に出まくってます。別に袁小田自体は決して嫌いではありませんが、ワンカット挿入が非常に邪魔くさく、いざアクションになっても動きがアレなんで。う~ん。
權永文
權永文
首領改編版オリジナルキャスト。オリジナル版のボスのさらにボスという設定。私は詳しく存じ上げませんが、この方は韓国では有名な伝説的なスーパーキッカーであるとか。うーん、私にはその凄さがわからない…。歴代ヒット作の大ボスに比べれば当然小粒感は否めなく、オリジナル版の陳鴻烈の方がまだ迫力がある気がしてならない。ちなみに、『ドラゴンロード』や『プロジェクトA』では悪党役で端役出演しています。
陳鴻烈
陳鴻烈
ルーチー兄貴オリジナル版のラスボス。改編版では兄貴に格下げ(泣)。陳鴻烈は晩年まで活躍した俳優さんです。權永文よりよっぽど良いと思うけどな~。陳鴻烈について詳しくはこちらから
関聰
関聰
ライサンヤンともに一味のリーダー格という役回り。ただ弱い。なんとも憎めない。特にオリジナル版では女性を襲う際のやりとり(改編版ではカット)がまた情けなさ過ぎて笑える。
石天
石天
麻雀大将改編版オリジナルキャスト。いつも通りの役どころですが、これ面白いのかな?あくまでジャッキーがいてこその掛け合いの面白さだと思うんですが…。中盤ではなんと17分近くも袁小田とのやりとりが挿入されています。トホホ。。。
蔣金
蔣金
豚児改編版オリジナルキャスト。実は初期成龍作品で脇役出演最多を誇る蔣金。特に昼バージョンではラストバトルの前座としても登場する大出世(?)。もうその時点で改編作品の底が知れる。

ちなみに、レビュー記事のほうでも書きましたが、本作にはチンピラ役で元彪(ユン・ピョウ)や火星(マース)が出演しています。

『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』ブルーレイ 『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』ブルーレイ 『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』ブルーレイ


また、改編版でジャッキーのダミーを演じたのは「陳少龍」という俳優さんです。

抜擢の理由はやっぱり鼻でしょうかね。とにかく小太り感がハンパないっす。拳シリーズの頃のジャッキーはかなり引き締まった体をしているので、尚更気になります。

随所に“ジャッキーらしさ”を出そうと頑張っている(?)のはひしひしと感じられますが、いかんせんキレが悪い。逆に考えると、普段何気なく観ていた初期ジャッキーの動きがいかに素晴らしいものなのか再確認できます。これが実は改編版で唯一とも言えるプラスポイントかもしれません。

さてこの「陳少龍」さん。香港影庫には、英名がJacky Chen Shao-Lungとなってました(笑)。「陳小龍」とも。もう色んなの合わせちゃってます。

【2014/8/20追記】偽ジャッキーは一体誰だ!?

改編版をちゃんと観ていなかったために、ミスを犯してしまいました。上で陳少龍が偽ジャッキーを演じたと書いておりますが、どうやら夜バージョンでは別な人物も偽ジャッキーを演じているようです。

事の発端は、以前から大変お世話になっている老舗功夫映画サイト「成こ家班」を運営されているなるこうさんのこのツイート。

いやあり得るんじゃないかと観てました。つまり高画質になったことで偽ジャッキーの正体に迫れるんじゃないかと。 偽ジャッキーの正体は陸一龍だった!? pic.twitter.com/0a3fj51jm8

— なるこう (@narukoiehan) 2014, 8月 6

良く見たら、いや良く見なくてもコレは陳さんでは無い! 思い込みとは怖ろしいもので、以前日本語吹替え版DVDを購入した時に検証し、陳さんと断定したことですっかり夜バージョンもそうだと思い込んでいたのです。

で、改編版は正直もう観たくなかったのですが、やはり気になるので再検証することに。

まずこちらが、昼バージョンのラストバトルでの偽ジャッキー。(クリックで拡大可能)

偽ジャッキー(昼)は陳少龍

次に、昼と夜の両バージョンに共通して収録されている映像から偽ジャッキー。(クリックで拡大可能)

偽ジャッキー(昼夜共通)は陳少龍

上の画像は特典映像からのキャプチャなので少し縦長になっているのでシャープな顔付きですが、実際は下の画像のようにちょっとぽちゃって.ます。

これらのシーンで偽ジャッキーを演じているのはやはり↓の「陳少龍」で間違いないのでは、と思われます。

偽ジャッキーを演じた陳少龍

問題は次の夜バージョンでのラストバトル。

偽ジャッキー(夜)は陸一龍ほか複数が演じた疑惑あり

中央の段から下段左から三つ目ぐらいまでは、やはりなるこうさんの仰るように「陸一龍」ではないかと思われます。確実に陳さんでは無い。

で、陸一龍とは(香港影庫)、私は詳しくは存じ上げていませんが羅維作品でジャッキーとは結構共演してるみたい。

偽ジャッキー(夜)を演じたと思われる陸一龍

思い込みを排除してみると、この夜バージョンのラストバトル、動きが全然違う。全然キレがあります。が、逆にジャッキーの物まね度合は低くなっているように感じます。

ここで思ったのが、最初に作られたのは昼バージョンで、その後陸一龍を呼んで夜バージョンを追加撮影したのではということです。昼バージョンは両バージョンに共通している修行シーンとラストバトルはちゃんとリンクしているので、夜バージョンが先とはどうも考えにくい。昼バージョンがアメリカ公開で、夜バージョンが中国(香港?台湾?)ということで、てっきり夜が先かなとは思っていたのですが、違うんじゃないかと。

そもそも何でこんな作品に2バージョンが存在しているか謎ですし、公開情報でさえ正直怪しいところはあるんですけどねぇ。。。

しかし、ここでさらなる疑問。上の夜バージョンの画像を見て頂くとおわかりかと思いますが、上段の左から3枚目まで、と上段右側の2枚はまたさらに別人ではないかと思うのです。

上段右側はこれ陳さんじゃないですかね。左の方は髪も長いですし、陸さんともまた違う人物に見えます。おそらくアクションによって演者を変えたのではと思うのですがいかがでしょうか。

繰り返しもっと詳しく鑑賞すれば、また何か発見があるかもしれないのですが、そこまでの熱意はどうしてもこの作品に対して生まれず….。なので、私の中では夜バージョンのラストバトルだけ、「陳少龍」「陸一龍」含む複数で偽ジャッキーを演じた。その他は「陳少龍」。というのが結論です。これ以上の検証はどなたか特異な方にお任せしたいなと思います。

あと余談ですが、今回のBD本編にも収録されている終盤の修行シーンの中で偽ジャッキーが目隠しをして袁小田のもとへ駆け寄るシーン(下のGIF画像の場面)がありますが、この時思いっきり目隠しがずり上がっちゃってます。そもそも目隠し自体シースルーだったことが、今回の高画質BDでバレちゃったわけですが、こうやって微妙にずり上げてアクションもしていたんですね~。高画質恐るべし。もしお手元にBDがある方は確認してみて下さい☆

偽ジャッキー、目隠しをズラす

ちょっと本筋から逸れちゃいましたが、上のキャスト以外も網羅した、“おそらく世界でただ一つの『広東小老虎』&『刁手怪招』人物相関図”を作ったので(笑)よろしければ合わせてご覧ください。

『広東小老虎(「燃えよジャッキー拳」「タイガー・プロジェクト」)』&『刁手怪招(ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳)』人物相関図

『広東小老虎』レビュー

では、『広東小老虎』をご覧になったことの無い方もいらっしゃると思いますので、適当に物語を追いつつ改編版との違いなんかを書いて行こうと思います。(画像は某動画サイトからのキャプチャになります。) ちなみにここで改編版としてるのは『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』の昼バージョンですが、夜バージョンでもラスト以外ほぼ同じです。(吹替えのセリフは違うと思う。) たんまりと長いので時間ある時に見て下さい。

(A)【過去】父の死(5分30秒→改編版:オールカット)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』002 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』003 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』004 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』005 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』006 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』007

ジャッキー演じる主人公・タイガーの父親が殺される過去の場面から物語は始まります。追われているのが父親と田豊演じるハン。なぜ追われているのかはよくわかりませんが、この2人は兄弟弟子のようです。そして追っているのが、陳鴻烈が演じるルーチー。彼もまた同門の兄弟弟子。つまりは同門同士の争い、おそらくはルーチーが裏切ったということなんでしょう。ちなみにタイガーの父親が一番の兄弟子で、次にハン、そして末弟子がルーチーです。

父は死の間際に弟弟子のハンに息子の将来を託します。そして息子のために同じ道を歩ませるな、と言い残します。これが後のハンの厳しさに現れてくるんですね。

タイガーは小虎。原題の『広東小老虎』はここから来てるんですね。ハンは洪です。

改編版ではいきなり新キャラの首領(權永文)登場。その後覆面を被った主人公の父親が同じように殺害されるのですが、こちらは同じ悪党一味の仲間割れの結果。悪党の中でも良心のあった2人が反旗を翻すも返り討ちに遭ってしまったようです。そして後々の目隠しの前フリも。

改編版では主人公一家や敵との関係が大分違います。こちらでは主人公リュウの父親とコウ(洪)は実の兄弟。つまりリュウはコウの甥っ子というわけです。

ま、その辺は正直どーでも良いんですが、問題はオリジナルでは5分ほどの過去場面が、改編版ではざっと17分弱!おいおい長いよ。父親が死んだあと、今度は御世辞にも可愛いとは言えない少年時代のリュウが登場。そして袁小田が演じる無宿大将も登場して、なんともメリハリのないやりとりや修行シーンがだらだらと続きます。夜の修行シーンでは全裸にして特訓。今なら何かと問題になりそうですな(苦笑)。そしてここでも目隠し。たぶん、ジャッキー作品じゃなきゃ確実にここらで観るのヤメてます。この時点で全体のおよそ5分の1が経過…。

(B)タイガーの勇姿(2分20秒→改編版:1分10秒)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』008 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』009 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』010 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』011 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』012

ジャッキー登場です。高速で連続バク天、タイトルクレジットです。クレジットはもちろん陳元龍、武術指導はジャッキーとともに殷元奎(ユン・ケイ)の名前が! これだけでも何だか嬉しい☆

動きのキレはこの頃から良いです。京劇っぽいスタイルで、高速回転下蹴り(?)からの起き上がりも披露。この3年後、羅維の元での『新精武門』なんかよりも、よっぽどジャッキーらしく感じます。

一方、改編版では、この2分ほどの貴重なジャッキーの一人舞台でさえも約半分にカット。しかも少年時代の修行シーンからの流れで、途中途中に袁小田のカットが挿入されます。これがまたウザイ。邪魔。

現実的なところでいうと、オリジナル版のクレジット表示場面をカットしなければならなかったんでしょうけど、そもそも改編するから悪いんじゃ、という事で。

(C)タイガーの家族(4分15秒→改編版:1分50秒)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』013 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』015 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』016 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』017 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』018 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』020 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』023 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』024 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』026 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』027 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』028

場面は変わって、舒佩佩が演じるホイラン(小蘭)登場。記念すべきジャッキー主演作の初ヒロインですよ。パチパチ。オリジナル版では血縁関係はありませんが、幼い頃から姉弟のように育った2人。家事を手伝うと言いながら、組手をやったりイチャつきます。ジャッキーのキャラもいたずら好きの普通の青年という感じで新鮮です。逆に言えば、キャラが薄いとも言えますが、少なくとも羅維時代にジャッキーが苦しんだ李小龍風のキャラではありません。この辺りも自然で、本作の良いところじゃないでしょうか。

そうこうしている間に、ハンが登場。『ヤングマスター』から遡ること6年。変わらないですねー。登場した瞬間、ガンコ親父だと丸分かり。ホイランはハンの娘で、タイガーはハンのことを父師(マスター)と呼んでいます。実父の死の真相は知らないまでも、その関係性はちゃんと把握しているようです。

ここで、見るからに裕福そうな家族が訪れます。ハン一家とは10年の付き合いで、血縁関係は無いものの家族同然だとか。一方、ハンは花を売っているようで生活は貧しく、金銭的にもこの一家にお世話になっています。タイガーは真面目だと彼らからの評価は高いようです。

改編版では、ホイランが主人公の従姉という設定のため、いちゃいちゃシーンは一部カット。主人公は本当の姉だと思っているようです。裕福な家庭もすべてカットされているため、登場しません。

(D)職場でのいざこざ(6分30秒→改編版:5分20秒)

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本作での重要キャラ、韓国材が演じる小鬼の登場。一応、日本版ではリトル・ピッカーという名前が当てられているようです。彼はスリを生業としていますが、タイガーの友人であり弟分。スリに成功した小鬼は、早速タイガーが働く食堂に赴き豪勢に注文。が、そこに悪党一味のライサンが現れ、稼ぎを全部持っていかれてしまいます。そう、小鬼は悪党一味の構成員。ライサンは兄貴分なのでした。それにしても香港映画の食事シーンってなんでこんなに美味しそうなんでしょうかね~。

この食堂でのシーンでもわかりますが、主人公の優しさや真面目さが随所に現れてます。好青年なんです。その後、無銭飲食しようとした悪党どもに気の優しい店主が突き飛ばされてタイガーがマジギレ。実は弱かったライサンは逃げ出し、タイガーはさらにそれを追って飛び出して行くのでした。短い時間ですが、ジャッキーの格闘シーンがあります。ただ、動きは今一つ。勝っちゃうんですけどね。いわゆる○○拳といった功夫ではなく、喧嘩っぽいスタイル。ジャッキー初期作品の修行前といった感じですね。

改編版では、韓国材に特に役名は無いみたいでそのものズバリ「スリ」(笑)。ここでは1分以上カットされていますが、細々とカットしているのでそこまで気になるほどではありませんでした。

一応、設定ではオリジナル版と違ってスリは悪党一味ではありません。なので、単にたかられているだけってことですね。

(E)悪党追って野外戦(2分20秒→改編版:1分30秒)

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店から場所を移して野外での格闘。タイガーはライサンと泥まみれで戦います。で、やっぱり弱いライサンは逃げ出しちゃいます。さらに追撃しようとするタイガーを小鬼が止めて終り。

基本的には同じ内容ですが、ところどころアクションシーンが切られています。合計で50秒ほどカット。オリジナル版では泥の中で結構長い間組んず解れつなんですが改編版ではあっさりと退散。そして場面終わりにまた無宿大将(袁小田)…。茂みの中から顔を出し、「よし、すっかり技が身についたな!」ってあんたはストーカーか(笑)

(F・G)怒られる2人(2分35秒→改編版:1分55秒)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』044 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』045 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』046 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』048

まず、タイガーにコテンパンにされたライサンはボスであるルーチーの元に。3人がかりで食堂のあんちゃんに負けたことを怒られます。一方、タイガーも帰宅後、喧嘩したことがバレてハンに怒鳴られます。タイガーは店のおっちゃんが殴られたからと言い訳しますが、ハンに聞く耳はございません。喧嘩するために功夫を教えた訳ではない、と。

結局、水汲みの罰を受けますが、ここでもホイランとちょっと良い感じのムード。ホイランの「もう喧嘩はしない?」との問いに、タイガーは「理由があればする」ときっぱり答えます。そう、本作のタイガーは一見、普通のあんちゃんに見えて、人のためなら拳を揮うという信念の持ち主なのです。そして罰は罰と、しっかりそれを受け止めるマジメな青年なんですね。

改編版ではライサン(ヤン)が怒られるところは一緒。タイガー(リュウ)も同じく怒られますが、あくまでこちらではハン(コウ)は彼に功夫を教えておらず、勝手に無宿大将に教わった事になってるので、それも合わせて怒られます。

リュウと従姉のシーンはやはりここでもいちゃいちゃカット。従姉からの同様の問いにリュウは「しないですめば、しない」と巻き込まれた感たっぷり。同じようなことでも微妙に意味合いは違いますね。

(H)小鬼と婆ちゃん(5分30秒→改編版:2分00秒)

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ここでは、小鬼がメイン。スリを見つかって逃走中にタイガーと遭遇。その後また逃走しますが、一人になった途端号泣し始めます。ちょっとコレは唐突。「稼ぐのは自分で、その金はライサンのもの。殴られるのも自分で、不公平だ。」と泣きじゃくるのです。このくだり、ちょっとやりすぎ感は否めませんが、本作ではタイガーに次ぐ重要な役どころなので大目にみましょう。

再び泣きながら走り出す小鬼は、その先で老婆と接触。誤って突き飛ばしてしまいます。なんとその老婆は偶然にも小鬼のお婆ちゃん。家を飛び出したっきりの小鬼が久々の感動の再会です。しばらく、2人の涙のやり取りが続きます。う~ん、さすがにここは長い。。。

そこにライサンが登場し、小鬼は蹴られ、婆ちゃんは突き飛ばされる。そこに我らがタイガーが登場し4人を蹴散らします。タイガー強し。ってかライサン弱し(笑)。ほんのちょっとだけ、背後から蹴られるシーンがあるんですが、そのリアクションって未だに変わってないんですよね~。

改編版では、泣き虫小鬼のくだりはごっそりカット。一応、老婆と小鬼のシーンの一部は生きています。そもそも、改編版では小鬼は悪党の一味ではないので、自分の理不尽な境遇に涙するシーンは不要だったのでしょう。オリジナルでの感動の再会シーンは非常にテンポが悪くなるので、珍しくカットされて正解かと。アクションシーンはほぼ残っています。ホッ。

(I・J)また怒られる2人(1分50秒→改編版:カットなし)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』055 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』056 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』057 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』058

タイガーにこっぴどくやられたライサンはまだルーチーにどやされます。タイガーもまたハンに。タイガーの言い分なんか、これっぽっちも聞く耳はありません。鉢をタイガーに投げつけ、キャッチできないと「よくも鉢を壊したな!」と怒りをぶちまけます(笑) 冷静に見ると、ハンが真剣なだけに滑稽なシーンです。タイガーも必死に鉢を落とさぬよう、脚でキャッチしたり、ジャンプキャッチしたり、これなんか後のジャッキーを彷彿とさせる動きを見せてくれます。違いはコミカルさは全くなく、両者は真剣。終盤のBGMも悲壮感たっぷりです。

改編版でのカットはなし。鉢投げのシーンは吹替え版だと、ちょっとだけコミカルな印象。石丸さんの掛け声だけでこうも印象が変わるんですね~。あと、BGMも差し替えられています。新録版はよりコミカルな感じの吹替えだったので、旧録版ぐらいが丁度良いかもしれません。

(K)再び悪党と乱闘騒ぎ(7分30秒→改編版:4分30秒)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』059 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』060 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』061 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』062 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』063 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』064 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』065 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』066 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』067 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』068 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』069

ライサン達の溜り場から場面スタート。下っ端の小鬼にタイガーの食堂で出前を頼んで来いと命じます。これはタイガーを待ち受ける罠だと気付いた小鬼は、それをタイガーに告げますが、心配ないとタイガーは意に介しない様子。そしてライサン達が待ち受ける溜り場にタイガーが現れます。特にライサン達にこれといって策は無く、ただ待ち伏せしているってのが学習能力無いです。普通に戦っても負けるのに。。。

しかし、タイガーはケンカはしないというハンとの約束を守るため、ただ殴らせてやると言うのです。そう、タイガーは自分の為に拳は振るわないのです。で、ボコボコにされるタイガー。ジャッキーのやられっぷりはこの頃から健在です。

小鬼が、こっそり抜け出し助けを呼びに街へ駆け出すと、偶然ホイランと接触。タイガーのピンチを告げ、現場へと駆けつけます。ここでライサンVSホイラン戦、女性相手だと打って変わって強気のライサンですが、ホイランもまた強かった。タイガーを守りながら4人相手に健闘します。う~ん、タイガーは駄目だけど、ホイランは喧嘩して良いのか?

ところがやはり多勢に無勢。ホイランは取り押さえられてしまいます。それにしてもライサンは良い味出してます。ゲスなんです。とことんゲス。ホイランに対しても「この拳法の味はどうだ?」とニヤつきながら尋ねたり、ホイランに顔に唾を吐きかけられても、ニヤニヤしながらその唾を舐め回すのです(笑)。そして一言、「いい香りだ」(爆)。さらにホイランを脱がせようとするライサンに、さすがのタイガーも我慢の限界。2人で反撃開始です。

そして予想通り、ライサン達はボッコボコにやられます。弱いんです。またしても逃げ出すライサンを追撃しようとしたタイガーでしたが、ホイランの腕輪が無くなってしまい終了。この腕輪は亡き母の形見だったのです。

改編版では、食堂でスリが出前を頼むシーンから。オリジナル版と同じようにリュウに罠を警告。同じ流れでリュウはボコボコ。スリは助けを呼びに行きます。ここでまた唐突に無宿大将のワンカットが入り、やられるリュウを見て「手向かいしないものを、くそぅ!」と一言。じゃあ、あんたが助けろよ(笑)。

現場へ駆けつけた従姉は速攻捕まってしまいます。オリジナル版のホイランの格闘シーンはまるごとカットされてます。ここから同じく2対4のバトルが展開。幸いジャッキーのアクションはカットされていませんが、ホイランの部分はカット。最後の腕輪のシーンも無くなってます。

(L)またまた怒られるタイガー(4分40秒→改編版:1分10秒)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』071 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』073 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』074 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』075 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』076 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』077 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』078 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』079 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』080

タイガーの自宅。亡き妻の形見を無くしたホイランをハンは責め立てます。庇おうとするタイガーを制止して、着いてこいと命じるハン。すると、タイガーの右腕をつかみ「この手が悪いんだな」と。あれ?ホイランを怒っていたのでは…。やはりハンといえど娘には甘いようです(汗)。

そしてハンの口から衝撃の一言。「罰としてガラス鉢を突け!」。ガーン!!もはや虐待です。決して修行ではないのです。真面目なタイガーは言われた通り、割れたガラスがたんまり入った亀の中に手刀突き!でも、あまりに画質が悪いため、血が見えないからショッキングさは半減。(実際は流血。)

さらにハンは、そんなに喧嘩が好きなら2人でやれと、タイガーとホイランを戦わせます。言われるがままに闘う2人。なかなかこのシーン好きです。本気でやるようにハンに言われ、互いにアイコンタクトを取る2人。それは決して手加減しようという合図ではなく、本気でやるよという合図。しかし怪我をしているタイガーは歩が悪い。ホイランはそんな彼を心配しつつも優勢に。いつのまにか、メロディアスなBGMとともに拳で愛を語り合うのです。(これは印象ですが。)

この闘いは意外な結末で幕を閉じます。一瞬の隙にタイガーが放った蹴りがホイランを直撃、ホイランは足を踏み外し高所から落下し気絶してしまいます。ここでハンはこう言い放つ。「ケンカ好きの結末はこうなるんだ」と。あんたは鬼や~~。

いきなり無宿大将に折檻されてます。「何で奴らに殴らせたんだ!」と。杖でビシバシ打たれちゃいます。そして悪い奴らには立ち向かえと、もうやられない事をリュウに誓わせるのでした。何だこりゃ。。。

その後は、家に帰ってさらにコウから怒られます。オリジナル版と同じように割れたガラスを突いて血だらけに。ここで再び無宿大将のストーキングカットが挿入→「なぁ~んと、まぁ、ムゴイことをする親父だぁ。」と一言。コウはリュウに「出ていけ!」と告げます。

再び場面は無宿大将と偽ジャッキー。オリジナル版のタイガーVSホイランのシーンはまるごとカットされています。で、無宿大将は血だらけのリュウの右手を秘薬に着けさせますが、これが痒い。たまらなく痒いんです。無宿大将曰く、その痒みが痛みを消すんだと。そしてなんとこの秘薬は、その傷ついた手を以前の10倍強くする薬なんだとか。。。なんじゃそりゃ(笑) もしかしてこれが「鉄指拳」の由来なのか!

(M)さらわれたウーエン(4分15秒→改編版:30秒)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』082 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』083 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』085 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』086 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』087 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』088

ホイランへの薬を買ったタイガーは店主に休みを貰って自宅へ。その帰り道にウーエンと出会います。ウーエンは序盤に出てきた家族同然の付き合いをしている裕福な家庭の娘さんです。2、3言交わして別れますが、その様子をタイガーの跡をつけてきたライサンに目撃され、ウーエンは拉致されてしまうのです。家ではホイランが静養中です。

ウーエンをさらったライサンは相変わらずのゲスっぷりを披露。空のコップの底越しに舐めまわすようにウーエンを見るのです。恐怖を感じ叫ぶウーエンに対し、「叫んでもダメだよ。俺が大人にしてやるから」とにやけ顔で抱きつきます。抵抗するウーエンの平手打ちを喰らったライサンは、「よし 愛してる証拠だ」とニヤリ。もはや病的なゲスっぷりです。さらに「泣き顔もまたいいね」と畳み掛けるライサンでした。

改編版ではウーエンとタイガー(リュウ)が知り合いという設定や、ホイラン(従姉)が怪我をした部分はカットされているのでいきなり帰宅。薬ではなく買い物をしてきたという体であっという間にこの場面は終了。

ここで唐突に首領登場。冒頭の過去シーン以来の登場で、白髪で毛がボーボーになってます。「麻雀大将に策は授けた」と部下に告げる短いカットです。場面は変わってついに麻雀大将こと石天の登場です。それにしても麻雀大将って。。。何やら店主がショバ代を要求されてます。で、明日届けに行きますと。ここでふと思ったのですが、このシーンはもちろんオリジナル版にはないので、店主役の金軍も改編版に出演したんですね。でも不自然なカット割りなので石天とは別々に撮影されたようです。

ここからが改編版での長丁場の最悪なシーンがなんと16分以上続きます。これは全場面中最も長いシーンです。麻雀大将の元へ店主から預かったショバ代を届けに行くことになったリュウは、無宿大将にどうすれば良いのか相談。結局無宿大将と一緒に麻雀大将の元へ赴くことになるのです。偽ジャッキーは早々に退散してここから、袁小田(無宿大将)と石天(麻雀大将)、そして蔣金(豚児)の3人によるドタバタ劇が延々と続きます。いわゆる『蛇拳』『酔拳』トリオ。このシーン、石天ファンや袁小田ファンにしてみれば嬉しいんでしょうかね。少なくとも私にとっては非常にイライラするシーンです。肝心のジャッキー出演を削ってまでこんなに長い時間捻じ込む必要はあったんだろうか。袁小田VS石天、袁小田VS蔣金、ふたたび袁小田VS石天でようやく話が次に進みます。

余談ですが、改編版(日本版)での袁小田の名前は無宿大将とされていますが、もうひとつ「七変化の男」という名も充てられてるそうな。一体、これはどこから来てるんでしょうか。特に変化はして無いような気が…。あと、袁小田のあまりにも不自然な黒髪が気になってしょうがないんです。「蛇拳」「酔拳」の白髪もヅラなんでしょうけど、この黒髪はもの凄く似合ってない。どうせなら同じにすりゃーいいのに。

(N)タイガーの救出劇(2分40秒→改編版:カットなし)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』092 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』093 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』095 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』096 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』098 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』101 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』102 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』103 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』105 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』106 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』107

ちょっとここで気になることが。2階でウーエンがライサンに襲われている中、階下での部下の会話。泰山演じるシャオリィに対してもう一人の部下が、「これで諦めがついたか?」と尋ねるのです。シャオリィは何も答えませんでしたが【ここまで前場面(M)】、その直後に偶然外を通りかかったタイガーを呼び止めちょっかいをかけます。もう一人の部下はほっとくように言いますが、シャオリィはやめません。そうこうしてる間に2階の窓からウーエンの悲鳴が。かくしてタイガーのウーエン救出劇となるのです。これってもしかしてシャオリィはウーエンに気があって、わざとタイガーにウーエンの危機を気付かせようとしたのではなかろうか。うん、非常にどうでもよい推察でしたね。。。

この救出劇ではジャッキーが2階の窓から落下というスタントを披露しています。これはダブルではなくジャッキー自身のスタントとしては初のデンジャラス・スタントなのではないでしょうか。パチパチ。

改編版ではウーエン自体の設定は削られていますので、リュウがたまたま知らない女性が襲われているところへ出くわし、救出します。

(O)ウーエンの帰宅(1分15秒→改編版:オールカット)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』110 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』111 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』112 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』114 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』116 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』118

場面は変わって、裕福な知人一家。帰宅しない娘を心配してお母さんが号泣してます。ハン親子も駆け付け心配な様子。そんな中、ウーエンが無事帰宅。タイガーに助けられたと告げるのです。それを聞いて何だか誇らしげなホイランとは打って変わり、ハンは「また あいつか…」としかめっ面。おいおい、そこは褒めてあげるところでしょうーが。とにかくハンは言いつけをまた破ったことに怒り心頭のようです。

ウーエン一家は未登場なので、ここは改編版ではオールカットされています。

(P)ハンの後悔(1分30秒→改編版:カットなし)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』120 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』121 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』125

自宅へと戻ったハンはひとり後悔の念に苦しみます。「カンフーを教えた私が悪いんだ」と。知人の娘を助けたのにね。。。そこにルーチーが登場し「やぁ、兄貴」と、タイガーの父親がルーチーに殺されて依頼の再会です。ルーチーは2人の弟弟子。何もしないからタイガーに合わせろとハンに詰め寄ります。3日後にまた会いにくると言い放ちその場を去るルーチーでしたが、そのやりとりを茂みの影からタイガーが見ていたのです。

改編版でも同じく悩むコウ(ハン)ですが、その内容は「叔父だと打ち明けるべきか」というものです。そこに兄貴(ルーチー)登場。こちらではコウの元友人ということになっています。兄を殺したことを責めるコウでしたが、実際に手を下したのは首領だと兄貴(ルーチー)は言い、また会おうと言い残し去る兄貴。その後また首領や無宿大将のシーンが挿入され次に。

(Q)ルーチーの圧倒的な強さ(6分30秒→改編版:1分30秒)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』128 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』130 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』131 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』133 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』134 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』135 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』136 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』137 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』139

ルーチーの帰り道、タイガーが追っかけて行き対面を果たすのですが、前場面のハンとルーチーの会話では父親に関することは言及していないので、単に師匠にちょっかいをかけてきたルーチーを追い払うためなのです。ここまでも一貫していますが、タイガーは決して自らのために拳を揮いません。あくまで人のため、今回は師匠のためなのです。

元彪や火星たち部下とタイガーの闘いはタイガーの圧勝。そこでいよいよルーチーの出番となるわけですが、大胆にもルーチーは部下に自分の腕を後ろで縛らせるのです。そしてタイガーが勝ったらこれまでの事は無かったことにすると約束、逆にもしタイガーが負けたら自分の部下になれと言うのです。そりゃあライサンじゃあね、頼りないもんなぁ。

両手を縛っているにも関わらず、全然歯が立たないタイガー。にもかかわらず、他に技はないのかと挑発するタイガーに対してついにルーチーは必殺跳び蹴りを放つのです! そこにハンがあらわれタイガーを突き飛ばして身代わりに蹴られます。おぉ、初めて良い事したぞハン師匠。ちなみに下の画像はおそらく当時のポスターかロビーカードといった宣材資料だと思いますが、この場面のものです。このルーチーは後ろ手に縛られながらもタイガーをやりこめています。左はルーチーの蹴りを喰らった直後のハン師匠です。(クリックで拡大。)

『広東小老虎(「燃えよジャッキー拳」「タイガー・プロジェクト」)』ポスター

約束は3日後のはず、とその場をなんとか切り抜けたハン一家。しかし、ルーチーの恐るべき蹴りはハンに大きなダメージを与えていたのです。

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』142 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』143 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』147 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』148 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』150 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』153 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』155

ハンは吐血。相当なダメージを受けています。責任を感じてハンに謝罪するタイガー。ホイランはハンに病院へ行くよう勧めますが、ハンはもう治らんとそれを拒否。し、死ぬのかハン…と思った矢先、信じられない光景が飛び込んできます。

なんと、おもむろに立ち上がったハン(結構元気そう)がタイガーに対して不意にキーーーーック!!!(爆)

「これがわしの極意だ」と全然元気そうなハン師匠(笑) ここあんまり言葉では上手く伝えられないのですが、あまりに唐突なんでちょっとウケます。

このままでは危険と思ったハンは、3日後の約束はすっ飛ばして一家で身を隠すことにしたようです。その割には近所なんですけどね。

ハンに怒られしょんぼりタイガーでしたが、実は「おれはこの手で守って見せる」と内なる闘志でメラメラなのでした。やっぱり一貫して、正義の青年として描かれてますね~。その辺、改編版では伝わってこないところです。

改編版ではいきなり戦闘シーンです。相手は元彪や火星たち。手下たちがリュウにやられたところで兄貴が駆け寄りリュウに跳び蹴りを放ちます。ここでオリジナル版と同じくコウが身代わりとなってそれを受け負傷。なんと兄貴とリュウのバトルシーンですらバッサリと切られています。さすがにこれは切っちゃあイカンでしょーに。でも、オリジナル版では圧倒的な強さを誇る大ボスルーチーも、改編版では兄貴という名もなき中ボスなのです(泣)。

その後のコウのいきなり蹴り倒しシーンも残念ながらカット。身を隠すとコウが告げたあとのリュウの独り言にも違いが。オリジナル版での「師匠を守る」想いとは裏腹に、こちらのリュウは「おれは闘う!逃げるのはイヤだ!」となんとも自分本位の決意を固めるのでした…。

(R)港で働くタイガー(3分40秒→改編版:1分40秒)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』157 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』158 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』162 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』163 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』164 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』165 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』167 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』168

ハン師匠はやっぱり重傷みたい。あのタイガーへの爆蹴りは何だったのか(笑)。おそらく命を賭したメッセージだったのでしょう。病床のハンはホイランを想い、つくづく大人になったと感慨深げに一人呟きます。そして「2人は似合いなのに…」とも。なんとハンはタイガーとホイランが一緒になることを望んでいるようなのです。やはりタイガーへの執拗な叱責は愛のムチだったのか。ここで、ハンの病状が急変、息を引き取ったかのようなシーンの後に場面は次へと変わります。

タイガーは身を隠すため食堂を辞め、港で力仕事をしていました。そんな時、なぜか港に一匹のサルが。タイガーの目の前でそのサルはくるっと宙返りをしてみせます。どっかで観たようなシチュエーションですね~。これが後々に意味を成すのですが、それはまた後ほど。

タイガーは港の大将にお金を前借してホイランへ渡します。ハン師匠の薬代ですね。急いでホイランは薬を買いに港を後に。それにしてもタイガーはやはりその真面目な性格が幸いしてか、良い職場のボスに恵まれるようです。食堂といい港といい、気の良いボスたちです。

そんな港へチンピラ集団がやってきます。また新たな悪役キャラ(でも弱そう)の登場ですが、ここでタイガーとひと悶着。よくよく見ると、例のルーチー一家じゃありませんか。やっぱり身を隠すならもっと遠くに行かないとね。さて、どうなる?ってとこでこの場面は終了。

改編版でも、コウは重傷で床に臥せています。昼バージョンではこの場面の港のシーンはごっそりカットされていますが、夜バージョンでは一部残っています。但し、猿のシーンはカット。

(S・T)迫る追手(4分20秒→改編版:1分05秒)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』171 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』172 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』174 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』175 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』176 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』179

ハン一家に約束を破られ怒り心頭のルーチーは抹殺指令を出します。隠れ家では父を看病しつつ、鶏を絞めるホイラン。そして頑なに医者にかかることを拒むハン。非常に苦しそうで今にも死にそうです。あれ?その前の息を引き取ったかのようなシーンはいったい…。とにかく、ここでハンの本音がチラリ。タイガーはいい子だと。そりゃあそうでしょうよ。

そんな父娘の一時も、屋外の不穏な空気を察したホイラン。窓の外にはなんとライサン達が迫ってきてるじゃありませんか!だからもっと遠くへ行かなきゃダメなんだって(笑)。

寝たきりの父を守るため、ホイランはひとりで5人相手に応戦。その中には小鬼もいましたが、戦闘には参加せず姿を消します。そう、小鬼も一応彼らの一味の下っ端なのです。

いつしか闘いはホイランVSライサンの一騎打ちに。案の定、またやられてしまうライサンでしたが、その隙に手下どもがハンが寝ている隠れ家に火を放ってしまうのです! もの凄い勢いであっという間に家は燃え上がってしまい、ホイランは絶叫するしかありませんでした。

ハン焼死….かと思いきや、実は姿を消した小鬼がこっそり助け出していました。この時点でまだホイランはそのことを知りません。そしてこの時、助け出したハンに小鬼が言い放った言葉がこれまた痛烈。「叔父さんはカンフーで自分を守る事もできないんだね。」とサラリ。これにはさすがのハンも何も言葉が出なかったようです(笑)。

兄貴の抹殺指令からすぐに隠れ家放火。例の如くホイラン(従姉)のアクションシーンはありません。改編版では功夫が出来ない設定なんですね。そして首領からはリュウの友人であるスリを捕まえるよう指示が出ます。

余談ですが、このホイラン(従姉)を演じている舒佩佩(スー・ペイペイ)は60年代半ばからショウ・ブラザースの武侠映画などに出演しそこそこ活躍していましたが、73年にショウ・ブラザースを離れこの作品を最後に引退します。なぜ最後の最後にショウブラではなくこんな独立プロの作品に出演したかは未だに謎です。この改編版が作られたのは78~79年頃ですので、もしその頃までに舒佩佩が現役、またはもっと人気のある現役女優さんがこの役だったらおそらくここまでカットはされなかったかもしれませんねぇ。。。

(U)港での大乱闘(9分15秒→改編版:3分00秒)

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』184 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』188 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』189 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』191 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』193 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』196 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』197 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』198 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』199 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』201 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』203

ハンが実は生きていたことをまだ知らないホイランは怒りに燃えライサン達を追走。その先はタイガーが働く港でした。港ではまだイザコザが続いており、どうやら港の権利をよこせとライサン達が要求しているようなのです。そんな時、港で働く労働者の中にタイガーの姿を見つけるライサン。そしてライサンを見つけるホイラン。ここでもまたライサンのゲスっぷりが堪能できます。いやぁここまで来るとなんか憎めないですライサン。なんでここまで弱いのに強気なんだか。

ここでホイランはライサン達に父が焼き殺されたことをタイガーに告げます。 怒り爆発で暴れまくると思いきや、意外とタイガーは冷静。いや内なる怒り・闘志ってやつですね。その迫力にビビったライサンは港の大将を人質に取るが、タイガーは怯まない。 ゆっくりとライサンへと近づき「ガマン? これ以上は無理だーー」と叫ぶのです。いよいよタイガーの怒りの鉄拳が炸裂!!!!!

と、思いきやここでハンが小鬼に抱えられ登場。ハンの生存を喜ぶホイランだったが、怒り爆発のタイミングを逸したタイガーはひとり立ち尽くします。一方、ライサンは裏切ってハンを助けた小鬼にキレます。「裏切り者はどうなるかわかってるんだろうなー」、これに対する小鬼の答えがまた潔い。「死ぬだけさ」

何と小鬼は死を覚悟でハンを助けたんですね。この少し前にはホイランが無くした腕輪を渡したりもしています。(たまたま拾ったのか、ライサン達から盗んだのかは不明) 改編版では影が薄く、「スリ」という名前しか与えられていませんが、オリジナル版では一味違います。小鬼こそ、これまでずっと我慢してきてそれがもう限界に達したんでしょうね。ライサンに怒りをぶちまける小鬼でしたが、縛られて吊し上げられてしまいます。

観念してタイガーに別れを告げる小鬼。そしてライサンには「お前は本当のバカさ。俺は18年後に生き返って男になるぞ」と言い放つのです。…よく意味はわかりませんが。

『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』204 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』207 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』209 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』211 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』212 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』213 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』215 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』216 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』217 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』220 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』221 『タイガー・プロジェクト ~ドラゴンへの道 序章~』222

いよいよ小鬼が危ない、そんな時動き出そうとするタイガーを呼び止めるハン。またまた喧嘩はダメだとでも言うつもりか…いや、なんとここでハンは大きな声で叫ぶのです!!「思う存分戦え!!!」 ウオォォーーー!!!

本作一番の爽快な瞬間ですよ。ココ。タイガーですらハンのまさかの一言に一瞬驚いた様子。ここで日本版オリジナル主題歌なんて流れた日にゃー最高なんですけどね。ホント。

さてここからがタイガーの独壇場です。あっという間に大勢の敵を倒してみせます。作品中では特に修行はしていませんが、これまでのアクションとは一味違います。めちゃ強いです。型自体は拳シリーズの頃みたいにメリハリのある“魅せる”感じではありませんが、ちょっぴり龍拳っぽいテイストですな。つくづくBGMが物足りないのが残念でなりません。

敵を一通り薙ぎ倒したタイガーは小鬼を助けようとしますが、新手の邪魔が入り、小鬼の命綱を掴んだままのアクションを展開します。この場面なんか後のジャッキー作品を彷彿とさせますね~。実はジャッキー・スタイルはこの10代の頃からジャッキーの中にあったんだろうなぁとつくづく思います。

が、残念ながら命綱を離してしまい小鬼は落下、そして死亡。ちょうどこの時大ボスのルーチーも登場します。タイガーは友の亡骸に「かならず仇は討つ」と誓うのでした。そう、タイガー最後の闘いはこれまで貫いてきた「誰かを守るための闘い」から「仇討ち」へと変わっていくのです!

ついにルーチーと対峙し最後の決闘へと臨むタイガー。ここでルーチーとハンのやり取りがあり、タイガーもルーチーが父の仇だと知るのかと思いきや、なんだか中途半端に伏せられたまま。この辺はなんだかちょっとモヤモヤしますなぁ。残念。

改編版ではせっかくのクライマックスも、後が使えてるので思いっきりカット。カット。いきなりスリが吊し上げられています。それを見て怒るリュウ。アクションシーンも切られてます。どんなにくだらない追加シーンを入れるよりも罪なのは、せっかくの初主演作のアクションシーンを切りまくってることでしょう。ホント許せませんよ!怒怒怒怒怒怒怒怒

さらに追い打ちをかけるような悪行→オリジナル版でハンが叫んだGoサインを、無宿大将がかけてしまうのです。。。で、乱闘の末、こちらでもスリは落下し死亡。スリとコウの仇を討つことを誓うのです。

そう、この辺りはかなり雑な編集。タイガーはいつコウの死を知ったのか。従姉ももう出てこなくなっちゃいますしね。ハァ…ということでこのラストバトル直前の場面もオリジナル9分のところ3分へと大幅カットが行われているのでした。

(V)ラストバトル(9分00秒→改編版:3分15秒)

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まさに一触即発、という間の取り合いを経てラストバトルは始まります。怒りの拳を揮うタイガーでしたが、やはりルーチーの方が上手。その蹴りはコンクリートを砕くほど。余裕たっぷりでタイガーの相手をします。しかし、徐々にタイガーの攻撃も当たるようになってきました。その時、こそこそと隠れて近づく一人の男、そうです、天下のゲス男・ライサンです(笑) 一瞬の隙を突いてタイマン勝負に割って入りタイガーに蹴りをかまします。。。が、それも一蹴されふたたびタイマン勝負に。その後、しばらくしてライサン再び登場しますが、あっという間に海の中に蹴り飛ばされてしまいます。結局、何の役にも立ちませんでしたとさ。チャンチャン。

このラストバトルの時、タイガーとルーチーを2人ぐらいの部下が常に取り囲んで、攻撃を仕掛けるような素ぶりをみせるのですが、結局ぐるぐる周りをうろつくだけで攻撃はしません。むしろちょっと邪魔。この辺りはまだまだですね。多対1の闘いは見られません。

ルーチー演じる陳鴻烈(チェン・ホンリー)はさすがショウブラで悪役俳優として鳴らしただけに、なかなかの立ち回りと味を出しています。ただ、やはりジャッキー作品の歴代ラスボスと比べると見劣りはしてしまいます。まぁ彼らと比べちゃあイカンのでしょうが。。。この作品ではジャッキーもそうですが、○○拳、というような分かりやすい型で戦っていないので、その辺はやはり物足りなく見えちゃいますね。

一進一退の攻防が続きますが、タイガーは劣勢。ついには一方的にやられてしまいます。ルーチーは再び高笑いで余裕を見せ始めます。 しかし首を絞められ危機一発のところでタイガーの頭突きが炸裂、反撃に転じ…と思いきやルーチーにはあまり効いてない様子。なす術無しのタイガーにルーチーの殺人キックが襲い掛かる!! と、その時タイガーの脳裏に、以前港で見た猿の動きが!! ここでタイガーの急所蹴りがルーチーに炸裂!!!

ん? これ猿の動き関係あんのか?…

とにかくこの辺は「蛇拳」なんかを彷彿とさせますね。イマイチ消化不良ではありますが、こういったアイデアはこの頃から使っていたというのはオドロキです。

痛みに悶絶するルーチーはタイガーに「この技は!?」と尋ねます。「タイガーのキンげりさ」とタイガー。うーん、そりゃそうだ(笑)

バトル再開後はなかなかルーチーの攻撃が当たらない。タイガーはアクロバティックな動きでかわし続けます。きっと猿の動きはこの辺に影響してるのでしょうね。分かりやすいように猿拳の動きじゃないところが悔やまれます。

ついにはタイガーの蹴りがルーチーを捉え、勝利。この辺りも実に惜しい。これで最後!という決め技の魅せ方でもないので、あれ?これで勝ったんだ、という感じ。そしてルーチー死亡。

功夫映画の定番の流れではここでババーンと「終劇」と思いきや、まだちょっとだけ続きます。闘いに勝利したタイガーは港の同僚たちから賞賛を浴びます。皆に取り囲まれ歓声で沸く中、ハンが一言。「お前は害虫を除いたが、人を殺した罪は罪だ。いさぎよく自首しなさい」….ガビーーーーン!!!Σ(゚Д゚|||) いやいやいやいや、ハンさんよー、そりゃあないよ(笑)

小鬼の亡骸を抱えたタイガーの姿をバックにここでナレーション。「人はなぜ平和に愛し合えないのだろう?」(笑)で終劇(実際には再會)。うーん終わり方はさすがに微妙でした。

一番の見せ場であるはずのオリジナル版ラストバトルも、改編版では大きくカット。途中で首領があらわれ2人の闘いを見守っています。そして例の如く無宿大将のカット割りが入り「必殺!急所蹴り!」の掛け声でドーーン!ちなみにこちらでは「リュウのドラゴン蹴り」という技名らしいです。で、あっという間に兄貴死亡。

首領は今は疲れているだろうから明日勝負だとなぜか紳士ぶりを発揮。この後、目隠しリュウ(小太り偽ジャッキー)と無宿大将のインチキ修行シーンが延々と続き、いざ決闘の時。まずは豚児戦。まさか彼がボス戦の前座とは大出世です。当然、相手にならずボス登場で目隠しバトル。あーつまらん。最高につまらん。ちなみにこれは昼バージョンです。

夜バージョンは、ラストがなかなかおもしろい。豚児は出てこず、雑魚戦のあとにボス戦となりますが、その最後。首領が跳び蹴り→リュウ躱す→首領着地したところに大きな石→バランス崩して坂を転がり崖に→かろうじて手で掴まるも、リュウに蹴られ転落し終劇(笑)。なんちゅうラストだ…。


あと、オリジナル版と改編版の編集比較を図表にしましたので、こちらも合わせてご覧いただければと思います。ちなみにこの図は「夜バージョン」との比較です。

『広東小老虎(「燃えよジャッキー拳」「タイガー・プロジェクト」)』&『刁手怪招(ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳)』編集対照表

どうでしょう。いかにオリジナル版の映像がカットされているかがお分かり頂けると思います。

この記事でオリジナル版の魅力をうまく伝えられた気は全然しませんが、とにかく世間の評価ほど酷い作品じゃないと思うんです。すべては初主演作のアクションシーンまでカットして、くだらない追加編集をした改編作品の影響ではないでしょうか。

そりゃあ「蛇拳」「酔拳」のように傑作かと問われれば否です。この作品で新たにジャッキー・ファンが増えるか?増えないでしょう。 でも、ジャッキー・ファンが見る分には充分価値があり、魅力的な作品だと思います。

ジャッキー・アクションがふんだんにあり、その後のジャッキー作品に通じる部分も所々に見ることができます。惜しい部分は確かに多く見られますし、中盤テンポの悪いところなど未熟さは多々ありますが、「ジャッキーの初主演作」という価値を考えれば補って余りあるほどです。

さらに、もしこのオリジナルが今回リリースされた「必殺鉄指拳」のような超高画質で蘇るならば、その作品の価値は数倍に跳ね上がるでしょう。画質、やっぱり大事です。

権利の問題やマスター・フィルムの問題など諸事情はあるのでしょうが、なんとかこの記念碑的な作品「ジャッキー初主演作」をブルーレイ化して貰える日を、本気で心待ちにしています!!

ブルーレイ化お願いします

カテゴリ: 商品レビュー.


4 件のコメント

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  1. 米澤賢治 says

    タイガー・プロジェクトのブルーレイ化ですか?是非お願いしたいと思います!ジャッキー・チェン主演映画で早く沢山集まればいいですね!後は、シティーハンターからラッシュアワー3までですね!一つ一つ片づけて参りましょうご成功を祈ってます!

    • kungfufan says

      もっと市場が盛り上がって、90年代以降の作品もブルーレイ化されると嬉しいですね!

  2. フレディ says

    こんにちは!僕もタイガープロジェクトのBlu-ray化希望です。初主演作品ということもあって嫌いになれないのですよね~。

    • kungfufan says

      こんばんは!
      諦めずに期待したいですね☆



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