Skip to content


THE MYTH


もうひとつの『アナザー・ライジング・ドラゴン』~『THE MYTH神話』再鑑賞のススメ

もうひとつの『アナザー・ライジング・ドラゴン』~『THE MYTH神話』再鑑賞のススメ

ここでは特別編として、別ページの「シリーズ:合わせてチェックしたい!この3作品」でも紹介している2005年のジャッキー作品
『THE MYTH/神話』について、『アジアの鷹』シリーズ、『ライジング・ドラゴン』といった視点から見て行きたいと思います。
普段、あまり語られることも少なく、大作の割にジャッキー作品としては存在感の薄い作品でもある訳ですが…(苦笑)。
ただ、『ライジング・ドラゴン』の鑑賞に合わせて観直してみると、様々な発見があり、これが面白かったりするわけです。

【STORY】
紀元前220年。モンイー(蒙毅)将軍は秦の始皇帝の近衛将軍として、朝鮮から迎える妃のユシュウ姫の警護を任されていた。
国境で彼女の婚約者、チェ将軍と激しい闘いの末、妃を守り抜いた。
一方、現代。考古学者のジャックは、インドの霊廟で財宝を発見。しかし、墓泥棒として国際警察から追われ、命からがら香港に戻る。
そんな彼の元に、邪悪で貪欲なかつての恩師グーが登場。
グーは“永遠の命”を欲するために、ジャックに危険な仕事を持ちかけるのだった…

製作の背景~プロジェクト始動と「アジアの鷹」との融合

製作の背景

まずは、この作品の製作における背景を。
この作品が撮影されたのは、『香港国際警察 NEW POLICE STORY』の撮影を終え、ゲスト的出演の『花都大戦 ツインズ・エフェクト2』の後、2004年半ばから2005年2月頃の期間になります。

2002年初:『Titanium Rain』として始動

当初、この作品は『Titanium Rain』と呼ばれ、現代、粉々になった衛星の数千におよぶチタンの断片が地上に降り注ぎ、異なる時間を行き来できる時の扉を開いてしまう。そしてジャッキー扮する明朝の兵士が、日本人の盗賊を捕まえるため時空の旅に出る…というタイムトラベル物だったようです。

この脚本の大まかなものは既に2002年はじめには上がっており、ロケ地はアメリカ、ロシア、中国を予定。
共演者には香港、アメリカ、日本の俳優を予定しており、一時はウーピー・ゴールドバーグや竹之内豊の名前も挙がっており、監督には、『レッド・ブロンクス』や『ファイナル・プロジェクト』の撮影監督を務めたジングル・マーが起用される予定でした。
当時、ジャッキーは『メダリオン』と『シャンハイ・ナイト』を掛け持ちで製作中。

この時点では、ジャッキーが演じるのが古代の兵士であること、現代と古代がリンクすること(方法は違うが)といった共通点が、『THE MYTH/神話』との間に見られますが、ロケ地や共演者などはまだ別物といった感じです。ただ、ここで監督として名前が挙がったジングル・マーは、この前年にアジアの鷹第3弾として企画発表された『藍陶戰影(Operation Condor3 : The Shadow of Blue Terra Cotta)』の監督としても候補に挙がっていました。
う~ん、この脚本での作品を観たかったと思うのは私だけでしょうか…

2002年末:スタンリー・トンの参加と「アジアの鷹」化

その後、なかなか撮影に入ることは出来ずにいた2002年末、監督としてスタンリー・トンの起用が決まります。話の大筋は変わらないものの、ここでロケ地にインドが加わることに。

インドと言えば、当初はアジアの鷹第3弾のロケ地として予定されており、俳優のAkshay Kumarの起用も噂されていました。
スタンリー・トンの加入によって、この作品のアジアの鷹化が進んで行ったと言えます。

撮影開始とジャッキーチェンの歴史劇

撮影開始

2003年:脚本の度重なる改編で『Time Breaker』に

年が明けても、脚本の練り直しが繰り返され、ジャッキーは『80デイズ』の撮影に。

『Titanium Rain』は『Time Breaker』というタイトルに変更され、中国の文化的側面を強く押し出していく脚本となり、ほぼ後の『THE MYTH/神話』に近い形になっていきます。

2004年:『神話』として撮影開始

そして2004年5月、タイトルが『神話』(正式タイトルはまだ未定)となり、主演女優が未定のまま撮影が開始されることになります。

『ライジング・ドラゴン』の脚本はまさにこの頃から練り続けられ、3年後の2007年頃にはほぼ原形が出来上がったようです。
『THE MYTH/神話』本編でも、その根源とも言うべき思いが語られており、まさに『ライジング・ドラゴン』はその壮大なるスピン・オフとも捉えることができそうです。

史劇とジャッキーチェン

ここで、ちょっと本題からは逸れますが、本作品の過去パートについて少しだけ触れておこうと思います。

ジャッキー作品での史劇は初めてであり、今のところ唯一のような気がしますが、ちょうど同時期に『花都大戦 ツインズ・エフェクト2』で、ゲスト出演ながら古代の兵士を演じていますね。
また、アジアの鷹第3弾である『藍陶戰影』とともに発表された計画の中に、『孫子兵法』という作品もありました。
ちょうど、ジャッキーがこういう作品を撮りたくなってきた時期だったのですね。

また近年でも、2011年にフランキー・チャン監督の『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』をプロデュース。そして、ジャッキー自身がこの頃からずっと撮りたがっていた中国の英雄的存在・岳飛を題材にした作品は、TVドラマ『精忠岳飛』としてスタンリー・トンが製作することで形を変え2013年に実現します。
ちなみに、この『精忠岳飛』は当初ジャッキーも製作に加わるということで製作発表などにも顔を出していましたが、実際には絡んで無さそう。同様にスタンリー・トンも『ライジング・ドラゴン』では初期の脚本に携わっているためクレジットはされているものの、現場からは降板。果たしてこれはお互いの作品に集中しようということだったのか、それとも…

序盤の現代パートはまんま「アジアの鷹」

ここからは、『THE MYTH/神話』の現代パートに的を絞って、「アジアの鷹」もしくは「ライジング・ドラゴン」的なものに注目していこうと思います。

どうしても過去篇の印象が強い本作ですが、実際には現代パートは全体の約6割を占めています。

序盤の現代パートはまんま「アジアの鷹」

より「インディ」に近づいた?

まず、ジャッキーの役どころですが、本作では考古学者。いわばこちらもトレジャーハンターであるわけで、よりインディ・ジョーンズに近付いています。その風貌もそのままアジアの鷹としても通用しそうです。

そして、『サンダーアーム』でのアラン的な相棒としてウィリアムが登場。演じているのはレオン・カーフェイ。ややアランよりは印象も好感度も落ちるのが残念なところですが、憎めない相棒的な要素は持っています。

「アジアの鷹」といえば、依頼者ということでこちらもしっかり登場。かくしてジャッキー演じるジャックはインドへ秘宝探しの旅に。

旅は道連れ世は情け…

この依頼者の一人で、後にも登場する女性が存在感は薄いものの、一応現代編でのヒロインの一人マギー。おそらく本来は、お目付け役?としてインドへの旅に同行するはずだったのか。

インドでは変装?して巡礼者に紛れ込むという、これまた「アジアな鷹」的シチュエーション。初めてのインドロケでしたが、その画を観るだけでシリーズ臭がぷんぷん。

そして、秘宝をゲットしたジャックは、お約束の現地人とのバトルを展開。わらわらと湧き出る原住民ならぬ巡礼者たちから逃れるため、斜面を滑り落ちていく様もまさにアジアン・ホーク。

その後、ジャックはサマンサという現地の女性に助けられるわけですが、こちらを演じているのはマリカ・シェラワットというインド人女優さん。本来であれば、これで男2人女2人による旅のメンバーが揃った事でしょう。もしかしたら過去篇でのキム・ヒソンのように、さらにここに韓国人女優が加わり、5人パーティとなっていたのかもしれません。多国籍チームもシリーズの伝統ですね。

韓国人俳優の起用という点では、本作には過去篇でチェ・ミンスも出演しており、こちらも派生作品である『アクシデンタル・スパイ』から続く流れになります。

中盤にも、ところどころに鷹の影

中盤にも、ところどころに鷹の影

小ネタとレディ・アクション

その後、近年のジャッキー映画としては珍しく現代での剣戟を披露。そしてお決まりの追走劇に。

ここでもちょっとした中盤のお約束。危険な生き物の登場。『プロジェクト・イーグル』のサソリならぬ今回はコブラ、そして『ライジング・ドラゴン』のオオトカゲへと続いていきます。

この辺りでマリカ・シェラワットがちょっとしたアクションを披露。『ライジング・ドラゴン』の脚本がほぼ固まりつつあった2006年頃の時点で、すでにヒロインはアクションの出来る人を抜擢する予定だったようで、もしかしたらこの頃からその構想はあったのかもしれません。この流れが、『ライジング・ドラゴン』でのボニーへと繋がっていくわけですね。

ソファーバトルの源流か

アクションとしては、この後のベルトコンベアーでのバトルが、『ライジング・ドラゴン』の対ハゲタカのソファーバトルに非常に酷似してるように感じます。このベルトは粘着性で何でもくっ付けてしまうがために、ジャッキーは靴やら服やらを足場にしてアクションを展開するわけですが、これがソファーから離れずに限られた足場で闘うあのバトルを思い起こさせるのです。

さらにちょっとHなお約束も忘れずに挿入。最後は敵のために機会を止めてあげるというジェントル精神も。

ただ、『アクシデンタル・スパイ』からの流れで、本作でもシャワーシーンやパンツ一丁姿を披露しているジャッキーのセクシーショットですが、さすがに還暦間近のジャッキーには厳しかったのか、『ライジング・ドラゴン』では見られなかったのがちょっと残念かも。

『アナザー・ライジング・ドラゴン』たる最大の所以

『アナザー・ライジング・ドラゴン』たる最大の所以

これが『ライジング・ドラゴン』の始まりだ

中国へ戻ったジャッキー。せっかくの秘宝を依頼者に無断で博物館に寄贈してしまいます。まさにこの部分が、もう一つの『ライジング・ドラゴン』たる所以です。

「国宝級の遺産は人類全体のものだ。」
「もし誰かの物であるなら、元の所有者に返さなければならない。」
「それは“保護”と言う名の“略奪”だ。」

ジャッキー自らも語っているように、この言葉から広がって『ライジング・ドラゴン』が生まれたのです。
昨今の政治的な情勢に『ライジング・ドラゴン』を絡めて、最近のジャッキーは…という人がいますが、こういったジャッキーの考えは、今始まった事ではありませんし、さらに言えばこの『THE MYTH/神話』の頃からでもありません。古くは『ドラゴン・ロード』なんかでも触れていることですし、ジャッキーの根底にある想いなんですよね。

クライマックスはローラースーツ?

ようやく悪の親玉登場の終盤。グー教授を演じるのは孫周(スン・チョウ)。なんだか『サンダー・アーム』の魔王を若く優しくしたような風体(なんとなく、アラン・タムに似てると感じたのは私だけでしょうか。)ですが、実は本業は監督なんだとか。

そして物語はいよいよ佳境。可変式グラサンを装着したジャッキーは、遺跡が隠された滝へと向かいます。余談ですが、遠くでその様子を見ていたグー教授の横には、密かに『ライジング・ドラゴン』で海賊を演じた盧惠光(ロー・ワイコン)、後ろには『ライジング・ドラゴン』の武術指導である何鈞(ホー・ジュン)の姿が…

その後に登場するジャックの姿は、もう私には『ライジング・ドラゴン』のローラーブレードスーツにしか見えません(笑)。そしてシリーズの定番、本作3度目の落下です!
残念ながら、ラストの教授とのバトルシーンはいささか不燃ぎみとなってしまいますが、過去篇とガッチリ融合してしまうこのラスト部分だけ違ったものになっていれば、充分「アジアの鷹」シリーズとして観られる作品になっていたのかもしれません。

『THE MYTH/神話』鑑賞のススメ

『THE MYTH/神話』鑑賞のススメ

いかがだったでしょうか。

ぜひ皆さんも、『ライジング・ドラゴン』の鑑賞前に、または鑑賞後にこの『THE MYTH/神話』を観てみませんか?

数々の「アジアの鷹」を思わせる要素、『ライジング・ドラゴン』へと発展していったジャッキーの想い。

なにより、CGやワイヤーを多用したこの作品から7年もの時を経て、ジャッキーが『ライジング・ドラゴン』であの驚異的なアクションを披露していることにあらためて驚かれるのではないでしょうか。

私の中では、正統シリーズの3作品に加え、『Who am I?』『アクシデンタル・スパイ』
そしてこの『THE MYTH 神話』が壮大な『アジアの鷹』ワールドなのです。

『THE MYTH/神話』日本劇場版予告

『THE MYTH/神話』ジャッキーからのメッセージ動画

『THE MYTH/神話』DVDをチェック!



0 件のコメント

(この記事のコメントの RSS を購読する



一部のHTMLが使用できます

*

または、トラックバック.